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一人社長の節税方法8選|役員報酬の最適額と手取りを増やすコツ

中本 雄二 / 更新:2026-07-04
一人社長になったのに、思ったより手取りが増えない。税金と社会保険料でごっそり持っていかれる——そう感じているなら、役員報酬の設定と使える制度を見直すだけで手取りは変わる。結論から言うと、一人社長は「給与所得控除」と「所得の分散」で個人事業主より節税の幅が広い。
  • 一人社長は役員報酬に給与所得控除がつくため、同じ利益でも個人事業主より課税対象を圧縮できる。
  • 役員報酬を下げると社会保険料は減るが、将来の年金額も連動して下がるため一長一短。
  • 小規模企業共済・iDeCo・経営セーフティ共済は掛金が全額または所得控除になり、節税と積立を両立できる。
  • 法人化の目安はおおむね課税所得800万〜900万円前後。設立費用や均等割など固定コストも発生する。
  • 節税をやりすぎると手元資金が減る。経費の私的流用は税務調査で否認されやすい。

一人社長の節税とは?個人事業主より節税できる理由

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一人社長の節税とは、法人という器を使って役員報酬・退職金・各種控除を組み合わせ、法人と個人のトータルの税負担を下げる取り組みのことです。

私も個人事業から法人にした口だが、正直いちばん効いたのは「給与所得控除」だった。同じ利益でも、法人にして自分に給与を払う形にすると、その給与に対して控除がつく。これは個人事業主にはない仕組みだ。

一人社長が節税できる仕組み

仕組みの核は2つ。会社の利益を役員報酬という「経費」に変えられること、そしてその報酬に給与所得控除がつくことです。

個人事業主は事業の儲けがそのまま自分の所得になる。一方で一人社長は、会社の利益から自分へ給与を出し、それを会社の経費にできる。会社と個人で所得が分かれるので、それぞれの税率を低く抑えやすい。

給与所得控除は、会社員でいう「経費のみなし枠」のようなもの。実際に領収書がなくても、給与額に応じて一定額が課税対象から差し引かれる。

個人事業主と一人社長の経費対象の違い

一人社長は、個人事業主では経費にしづらい退職金・社宅・出張日当・生命保険料の一部などを経費化できます。

個人事業主と一人社長の経費・控除の違い
項目個人事業主一人社長(法人)
自分への給与経費にできない(事業所得そのもの)役員報酬として経費にできる
給与所得控除なし役員報酬に適用される
退職金自分には出せない役員退職金として損金にできる
社宅原則自宅は経費にしにくい役員社宅制度で家賃の一部を経費化
出張日当日当という形では出しにくい旅費規程を作れば日当を経費化

表のとおり、経費にできる範囲が一人社長のほうが明らかに広い。ここが「一人会社 節税」の出発点になる。

法人化で手取りが増える理由

法人化で手取りが増える理由は、所得を法人と個人に分散し、それぞれで税率と控除を最適化できるからです。

個人事業主の所得税は超過累進課税で、所得が上がるほど税率も上がる。全部を自分ひとりの所得で受け止めると、高い税率帯に一気に届いてしまう。

法人にして会社側に利益を残せば、その部分は法人税の対象になる。個人の高い税率を避けて分けて持てる。これが「ひとり社長 手取り」を押し上げる基本ロジックだ。

ただし手取りは役員報酬の金額しだいで大きく変わる。分散すればいいという単純な話ではなく、社会保険料と将来の年金まで含めて設計する必要がある。

一人社長ができる節税対策の方法一覧

一人社長ができる節税対策は、役員報酬の分散・退職金・出張日当・社用車・役員社宅の5つを軸に組み立てるのが現実的です。

どれも「会社のお金を、ルールに沿って正しく個人側のメリットに変える」発想。順番に見ていく。

役員報酬の設定で所得を分散する

役員報酬は、会社に残す利益と個人で受け取る給与のバランスを決める最重要ポイントです。

報酬を上げれば個人の所得税・住民税・社会保険料が増え、会社の利益(法人税)は減る。下げれば逆になる。両方の税負担を足して一番小さくなる金額を探すのが腕の見せどころだ。

注意したいのは、役員報酬は原則として期首から3か月以内に決め、その事業年度は途中で自由に増減できない点。損金にするには「定期同額給与」という毎月同額のルールを守る必要がある。

退職金を設定して報酬を抑える

退職金は、税制上の優遇が大きいため、毎月の報酬を抑えて将来の退職金に回すほど有利になりやすい仕組みです。

退職所得は、勤続年数に応じた控除を引いたうえ、残りの半分だけが課税対象になる。給与でコツコツ受け取るより、退職金でまとめて受け取るほうが手元に残りやすい。

一人社長でも自分に役員退職金を出せる。ここは個人事業主には真似できない、法人の大きな強みだ。

通勤手当・出張日当を経費にする

出張日当は、旅費規程を整備すれば会社の経費にでき、受け取った本人の所得税もかからない扱いにできます。

通勤手当も一定額まで非課税。ただし日当は「旅費規程」という社内ルールがないと否認されやすい。金額の根拠を文書で残すのが前提だ。

私は最初、規程なしで日当を出そうとして税理士に止められた。ここは書類が命だと痛感した。

自家用車を社用車として活用する

自家用車を社用車にすると、購入費(減価償却)・ガソリン代・保険・車検費用を事業割合に応じて経費にできます。

ポイントは事業使用の割合。プライベートと兼用なら、走行距離などで按分して事業分だけを経費にする。全額経費にすると調査で突っ込まれる典型例だ。

役員社宅制度で自宅を経費にする

役員社宅制度は、会社が借りた住宅を社長に貸す形にすることで、家賃の一部を会社の経費にできる制度です。

社長は「賃貸料相当額」という一定の家賃を会社に払えばよく、実際の家賃との差額を会社が負担する。この負担分が経費になる。個人で全額払うより手取りベースで得になりやすい。

社宅は経費インパクトが大きい反面、賃貸料相当額の計算を誤ると給与課税されてしまう。導入時は税理士に金額を確認してから契約するのが安全。

役員報酬はいくらが最適か?税と社会保険料の試算

役員報酬の最適額は、所得税・住民税・社会保険料・法人税の合計が最小になる金額であり、多くの一人社長で「利益を出し切らず、報酬を抑えめにする」方向に落ち着きます。

ここは競合記事でも薄い部分。私の実感を交えて具体的に書く。

法人税・所得税・社会保険料の関係

役員報酬を上げると個人の負担(所得税・住民税・社会保険料)が増え、下げると法人の負担(法人税)が増える、というシーソーの関係にあります。

見落としがちなのが社会保険料。役員報酬にかかる健康保険・厚生年金は、会社と個人で折半して払う。会社負担分も含めると、報酬に対しておよそ3割近い負担になる。これが地味に重い。

だから「報酬を上げれば手取りも比例して増える」わけではない。社会保険料の増え方が効いてくる。

社会保険料を下げると年金はどうなるか

役員報酬を下げると社会保険料は減りますが、その分だけ将来受け取る厚生年金も減ります。

厚生年金は払った保険料に応じて将来の受給額が決まる。目先の保険料を削ると、老後の受け取りも細くなる。ここはトレードオフだ。

私の考えを正直に言う。報酬を極端に下げて社会保険料を最小化する手は、独身で貯蓄が厚い人には合うが、老後の年金を頼りにしたい人には勧めない。削った分はiDeCoや小規模企業共済で自分の口座に積む前提なら納得できる。

手取りを最大化する報酬ラインの決め方

手取りを最大化する報酬ラインは、会社に残す利益をどう使うか(内部留保か退職金か共済か)を決めてから逆算するのが正しい順序です。

  1. 年間の利益見込みを立て、生活に必要な手取り額を先に決める。
  2. その手取りに届く役員報酬を設定し、社会保険料と所得税の増加を確認する。
  3. 残った利益を退職金原資・共済掛金・内部留保に振り分ける。
  4. 法人と個人の税・社会保険料の合計が下がる方向へ微調整する。

具体的な金額は利益・家族構成・地域の保険料率で変わる。ここだけは一般論で断言できない。数字を出すシミュレーションは税理士か専用ツールで、自分の数字を入れて確かめてほしい。

一人社長が活用できる公的な節税制度

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一人社長が使うべき公的制度は、小規模企業共済・経営セーフティ共済・iDeCoの3つで、いずれも掛金が控除または損金になり節税と積立を同時に進められます。

私はこの3つを実際に運用している。使わない手はない、というのが率直な感想だ。

小規模企業共済で退職金を積み立てる

小規模企業共済は、掛金が全額所得控除になり、将来は退職金として受け取れる、経営者向けの積立制度です。

掛金は月1,000円から7万円まで500円単位で選べる。年間で最大84万円を所得控除にできる。運営は中小機構だ。

自分の退職金を、節税しながら自分で積み立てるイメージ。個人事業主でも入れるが、一人社長の退職金設計とも相性がいい。

経営セーフティ共済(倒産防止共済)を使う

経営セーフティ共済は、掛金を全額損金(または必要経費)にでき、取引先の倒産時に無担保で借入れができる制度です。

掛金は月5,000円から20万円まで、積立上限は800万円。40か月以上納めれば解約時に掛金が全額戻る。運営は同じく中小機構。

ただし解約手当金は受け取った期の益金になる。出口で利益とぶつけないと、単なる課税の先送りで終わる。私はここを退職金の支給時期と重ねて使っている。

2024年10月以降、解約して再加入した場合、解約日から2年間は掛金を損金算入できない改正が入った。短期で解約・再加入を繰り返す使い方は封じられている。

iDeCoで老後資金と控除を両立する

iDeCoは、掛金が全額所得控除になり、運用益も非課税で老後資金を作れる私的年金制度です。

厚生年金に入っている一人社長の場合、掛金の上限は月2万円(年24万円)が目安。受け取りは原則60歳以降で、途中で引き出せない点は理解しておきたい。

各種所得控除・ふるさと納税との組み合わせ

公的制度による控除は、生命保険料控除やふるさと納税など個人側の節税と組み合わせると効果が積み上がります。

ふるさと納税は寄付額から2,000円を引いた分が住民税・所得税から控除される。役員報酬を決めたら控除上限も決まるので、報酬設計とセットで考えるといい。

一人社長が使いやすい積立・控除制度の比較
制度掛金上限(目安)税制メリット注意点
小規模企業共済年84万円掛金が全額所得控除短期解約は元本割れ
経営セーフティ共済年240万円(積立上限800万円)掛金が全額損金/経費解約手当金は益金になる
iDeCo年24万円(厚生年金加入の目安)掛金が全額所得控除・運用益非課税原則60歳まで引き出せない

家族への給与や赤字の繰越で税負担を減らす

家族への給与支払いと欠損金の繰越は、所得を分散し、赤字の年の損を将来の黒字と相殺できる有効な節税策です。

家族を非常勤役員にして所得を分散する

家族を非常勤役員や従業員にして給与を払えば、社長ひとりに集中していた所得を分散し、世帯全体の税率を下げられます。

ポイントは「実態」。役員として実際に業務や経営判断に関わっているか、勤務実態があるか。名前だけ載せて給与を払うと否認される。ここは私の周りでも実際に指摘された例がある。

金額も、仕事の中身に見合った水準にする。相場からかけ離れた高額報酬は狙われやすい。

赤字(欠損金)を長期で繰り越す

法人の赤字(欠損金)は、最大10年間繰り越して、将来の黒字と相殺できます。

個人事業主の青色申告は繰越が3年。法人の10年は大きな差だ。創業初期に赤字が出ても、軌道に乗った後の利益とぶつけて税金を抑えられる。

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中本 雄二

会社経営者 ・ 節税・補助金を実務で運用 ・ セーフティ共済・小規模企業共済を活用

中小企業の経営者。自分の会社で節税と補助金を実践してきた。税理士に任せきりにせず、制度を自分で調べて使う派。失敗や払いすぎた経験もあるからこそ、現実的な打ち手を語れる。

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