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消費税・インボイス

インボイスで消費税はいくら?3つの計算方法と納税額シミュレーション

中本 雄二 / 更新:2026-07-04
インボイス登録をしたはいいものの、「結局、消費税っていくら払うの?」がいちばんの不安どころだと思う。私も自分の会社で消費税の計算を何度もやり直して、払いすぎに気づいた経験がある。結論から言うと、売上1,000万円以下の免税だった人が課税事業者になった場合、当面は「2割特例」を使えば売上にかかる消費税の2割だけで済む。
  • 2割特例なら、預かった消費税の2割だけを納める(売上税額100万円なら納税は20万円)。
  • 2割特例が使えるのは令和8年(2026年)分の申告まで(経過措置)。
  • 計算方法は一般課税・簡易課税・2割特例の3つがあり、選ぶ方式で納税額が変わる。
  • 簡易課税のみなし仕入率は業種で40〜90%に分かれる。
  • 消費税の納付期限は原則として翌年3月31日。資金繰りの準備が要る。

インボイス制度で消費税はいくら払う?結論と早見表

インボイスで課税事業者になった人でも使える消費税を減らす方法を解説します!
インボイスで課税事業者になった人でも使える消費税を減らす方法を解説します!

免税事業者から課税事業者になった人が2割特例を使う場合、納税額は「売上にかかった消費税 × 20%」で計算する。

つまり、税込1,100万円の売上(消費税10%分が100万円)なら、納める消費税は20万円だ。「売上の消費税ぜんぶ払うのか…」と身構えていた人には、正直ここが救いになる。

年商別・取引額別の消費税負担額の早見表

2割特例を前提に、年商ごとの納税額のめやすを表にした。すべて標準税率10%・全額が課税売上という前提の試算だ。

2割特例での消費税納税額の早見表(税率10%・課税売上のみで試算)
売上税額=税抜売上×10%。納税額=売上税額×20%。中本による試算。
税抜の年間売上預かる消費税(売上税額)2割特例の納税額
300万円30万円6万円
500万円50万円10万円
700万円70万円14万円
1,000万円100万円20万円

見てのとおり、負担は「売上の2%」に収まる。年商500万円なら10万円。これを高いと見るか、覚悟していたより軽いと見るかは人それぞれだと思う。

「結局いくら払うの?」への端的な答え

元・免税事業者が2割特例を使うなら、納税額は「税抜売上の約2%」。年商500万円なら約10万円、年商1,000万円なら約20万円が目安。

ざっくり掴みたいなら、この2%を覚えておけばいい。ただしこれは2割特例が使える期間限定の数字だ。期限が切れた後は増える。そこは後の章でしっかり書く。

消費税額の計算方法3種類を比較(一般課税・簡易課税・2割特例)

消費税の計算方法は一般課税・簡易課税・2割特例の3つで、どれを選ぶかで納税額が変わる。

仕組みを一言でいうと、一般課税は「預かった消費税−払った消費税」、簡易課税は「預かった消費税×(1−みなし仕入率)」、2割特例は「預かった消費税×20%」。国税庁もこの3方式を整理して案内している。

一般課税での計算方法と計算例

一般課税は、預かった消費税から実際に支払った消費税(仕入税額控除)を差し引いて納める。

たとえば税抜売上700万円(預かり70万円)で、課税仕入れが税抜300万円(支払い30万円)なら、納税額は70−30=40万円。経費に消費税が多くかかる業種ほど、この方式が効いてくる。

正直、いちばん手間がかかるのがこの方式だ。全部の取引を集計して、適格請求書も保存しないと控除が受けられない。

簡易課税での計算方法とみなし仕入率一覧

簡易課税は、実際の仕入れを集計せず、業種ごとに決まった「みなし仕入率」で控除額を計算する方式だ。

適用できるのは前々年の課税売上高が5,000万円以下で、事前に届出を出した事業者。みなし仕入率は40〜90%で業種区分ごとに決まっている。

簡易課税のみなし仕入率(業種区分)
出典:国税庁「簡易課税制度の事業区分」。
事業区分主な業種みなし仕入率
第1種卸売業90%
第2種小売業80%
第3種製造業・建設業70%
第4種飲食店業など60%
第5種サービス業・運輸通信業50%
第6種不動産業40%

例えばサービス業(第5種、みなし仕入率50%)で売上税額70万円なら、納税は70×(1−0.5)=35万円になる。

2割特例での計算方法と適用条件

2割特例は、インボイスのために免税から課税になった人だけが使える経過措置で、納税額は売上税額の2割だ。

届出は不要で、確定申告のときに選ぶだけでいい。もともと課税事業者だった人や、基準期間の売上が1,000万円を超える人は対象外になる。

同じ売上で3方式を比較してどれが一番お得か

税抜売上700万円・課税仕入れ税抜100万円(サービス業)という同じ条件で、3方式の納税額を並べてみた。

同一条件での3方式比較(税抜売上700万円・サービス業)
売上税額70万円。一般課税の仕入税額は課税仕入100万円×10%=10万円で試算。中本による試算。
計算方法控除の考え方納税額
一般課税実際の支払消費税10万円を控除60万円
簡易課税(第5種)みなし仕入率50%で控除35万円
2割特例売上税額の80%を控除14万円
経費に消費税がほとんどかからないサービス業やフリーランスなら、当面は2割特例が圧倒的に有利。逆に高額な仕入れ・外注が多い業種は一般課税が勝つこともある。

私の実感では、身ひとつで稼ぐ業種なら2割特例一択。だが工事や仕入れで消費税をたくさん払う人は、一度は一般課税で試算しておくべきだ。

業種別・年収別の納税額シミュレーション

業種によって有利な方式が変わるので、代表的な3業種で納税額を試算した。

以下はいずれも標準税率10%・課税売上のみとした私の試算だ。実際の数字は経費の内訳で動く。

フリーランス・IT系のケース

経費が少ないIT系フリーランスは、2割特例がそのまま最安になりやすい。

税抜売上600万円なら、2割特例で納税12万円。簡易課税(第5種)だと30万円。差は18万円。ここまで開くと迷う余地はない。

建設業のケース

建設業(第3種、みなし仕入率70%)は、材料や外注で消費税を多く払うため一般課税も候補に入る。

税抜売上800万円・課税仕入れ400万円の一人親方なら、一般課税で(80−40)=40万円、簡易課税で80×0.3=24万円、2割特例なら16万円。この規模ならまだ2割特例が有利だ。

飲食業のケース

飲食業(第4種、みなし仕入率60%)は食材の仕入れが多く、軽減税率8%も絡むので計算が少し複雑になる。

税抜売上700万円で単純化して比べると、簡易課税で70×0.4=28万円、2割特例で14万円。ただし仕入れの一部が8%なので、実際は自店の数字で必ず確認したい。

免税事業者のままと課税事業者になった場合の手取り比較

免税のままなら消費税の納税はゼロだが、取引先から値引きや取引見直しを求められるリスクがある。

税抜売上700万円・2割特例で試算した手取り比較
取引先が消費税分の値引きを求めたケースを想定した中本の試算。手取りは概算。
ケース消費税の扱いおおよその手残りへの影響
免税のまま・値引きなし納税0円影響なし
免税のまま・消費税相当の値引き納税0円だが売上70万円減約70万円のマイナス
課税+2割特例納税14万円約14万円のマイナス

正直に言うと、取引先が消費税分をまるっと値引き要求してくるなら、登録して2割特例を使ったほうが手残りは大きい。ここは相手との力関係で判断が分かれるところだ。

2割特例の期限とその後の消費税負担の増え方

【緊急】インボイス・消費税廃止へ国会が動きました。個人事業・経営者の方は必ず確認してください。
【緊急】インボイス・消費税廃止へ国会が動きました。個人事業・経営者の方は必ず確認してください。

2割特例は令和8年(2026年)分の申告までの期間限定で、それ以降は一般課税か簡易課税に切り替わる。

ここを知らずにいると、ある年から急に納税額が跳ね上がって資金繰りに詰まる。私がいちばん注意喚起したいのがこの点だ。

2割特例の適用期間と激変緩和措置の終了時期

2割特例が使えるのは、令和5年10月1日から令和8年9月30日を含む課税期間まで。個人事業主なら令和8年(2026年)分の確定申告が最後になる。

特例終了後に選べる計算方法と負担増への備え

特例が終われば、一般課税か簡易課税を選ぶことになる。簡易課税を使いたいなら、原則として適用したい年の前年末までに届出が必要だ。

2割特例で納税14万円だった人が、終了後に簡易課税(第5種)へ移ると35万円になる例もある。差額は毎年の固定費だと思って、いまから積み立てておきたい。

私は「2割特例と簡易課税の差額」を別口座に毎月よけている。終わってから慌てないための保険だ。

消費税はいつ・いくら・どう納める?納付と資金繰り

個人事業主の消費税は、原則として翌年3月31日までに、その年分をまとめて納める。

つまり令和6年分の消費税は令和7年3月末が期限。所得税の確定申告とほぼ同時期に、もう一つ支払いが乗ってくる感覚だ。

納付時期と納付方法

納付方法は、口座振替(振替納税)・電子納税(e-Tax)・クレジットカード・コンビニ・窓口などから選べる。

振替納税にしておくと、口座引き落としが4月下旬にずれるので、少し資金に余裕ができる。国税庁が納付手段を案内している。

資金繰りへの影響と手元に残すべき金額

預かった消費税は自分のお金ではない、と割り切って別枠で管理するのがいちばん安全だ。

2割特例なら、入金された消費税10%のうち2%分を確保しておけば足りる。売上が入るたびに、その2%を別口座へ移すだけで納税で困らなくなる。

消費税は「翌年まとめて後払い」。使い込むと納付月に一気に苦しくなる。売上税額の2割は最初から無いものとして分けておくのが鉄則。

インボイス制度導入後の確定申告の流れ

消費税の申告は、所得税の確定申告とは別に消費税の申告書を作成して提出する。

  1. 1年分の売上と、必要なら課税仕入れを集計する。
  2. 一般課税・簡易課税・2割特例のどれで計算するか決める。
  3. 消費税の申告書を作成し、翌年3月31日までにe-Taxか書面で提出する。
  4. 期限までに納付する(振替納税なら口座引き落とし)。

請求書の端数処理と取引先への影響・価格交渉

インボイスでは、消費税の端数処理は「1つの適格請求書につき、税率ごとに1回」と決められている。

商品ごとに端数を丸めて積み上げるのはNG。ここを間違えている請求書を私も何度か見てきた。

税率ごとの1回の端数処理ルールと請求書への反映

10%対象の合計、8%対象の合計をそれぞれ出してから、税率ごとに一度だけ端数処理する。

切り上げ・切り捨て・四捨五入のどれを使うかは事業者が選べる。請求書には税率ごとの税抜(または税込)合計と、消費税額を分けて書く。国税庁が記載事項を示している。

買手側が負担する消費税額と値引き・価格交渉の実務

取引先(買手)は、あなたが適格請求書を出さないと仕入税額控除ができず、その分の消費税を自分で負担することになる。

ただし免税事業者からの仕入れでも、経過措置として一定期間は一部を控除できる。だから「即・全額値引き」を飲む必要はない。ここは冷静に交渉していい部分だ。

私の経験だと、いきなり10%丸ごとの値引きを求めてくる相手より、経過措置を踏まえて折り合いを探る相手のほうが長く付き合える。

会計ソフト・計算ツールでの消費税計算の手順

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中本 雄二

会社経営者 ・ 節税・補助金を実務で運用 ・ セーフティ共済・小規模企業共済を活用

中小企業の経営者。自分の会社で節税と補助金を実践してきた。税理士に任せきりにせず、制度を自分で調べて使う派。失敗や払いすぎた経験もあるからこそ、現実的な打ち手を語れる。

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