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インボイス登録をやめるには?取り消し手続きと期限・注意点を解説

中本 雄二 / 更新:2026-07-04
「とりあえず登録したけど、やっぱりインボイスをやめたい」——そう思っている人は少なくない。結論から言うと、インボイス登録は取り消せます。ただし届出書を出すタイミングを外すと、希望した時期に免税に戻れず1年余計に課税事業者を続けるはめになる。
  • インボイス登録は「登録取消届出書」を出せば取り消せる。
  • 取り消したい課税期間の初日から起算して15日前までに提出する必要がある。
  • 一度出した登録申請の「取り下げ」と、登録後の「取り消し」は別物。
  • 課税事業者選択届出書を出している人は、追加でもう1枚の届出書が必要になる。
  • 再登録すると2年間は免税に戻れない「2年縛り」がかかる。

インボイス登録はやめられる?取り消しの可否と基本知識

【インボイス制度】登録したけどやめる・取り消す時は、かなり注意です!
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インボイス登録は「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出すれば、いつでも取り消せます。

ただ、私が最初につまずいたのはここ。「取り消し」と「取り下げ」は完全に別の手続きなんです。混同すると、出す書類も窓口も間違える。

インボイス登録は取り消しできる

登録済みの事業者は、届出書1枚で登録を取り消せます。理由を書く必要も、税務署の許可を待つ必要もありません。

届出書の正式名称は長い。「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」です。以降は「登録取消届出書」と呼びます。

登録申請の取り下げはできない

すでに登録番号が発行された後は「取り下げ」という手続きは使えません。ここが要注意。

「取り下げ」が使えるのは、登録申請を出したけれどまだ登録が完了していない段階だけ。番号が届いた時点で、選択肢は「取り消し」一択になります。

番号発行前なら「取り下げ」、発行後なら「取り消し」。どちらの段階にいるかで手続きが変わります。

取り消しを検討する主な理由

取り消しを考える動機は、だいたい次のパターンに集約されます。私のまわりの個人事業主に聞いた実感値です。

  • 取引先に言われて登録したが、実際には求められなかった。
  • 消費税の納税負担が思ったより重い。
  • 会計ソフトや請求書システムの導入・運用がしんどい。
  • 業務内容が変わり、BtoCが中心になって登録の必要が薄れた。

正直に言うと、私は「とりあえず登録しておくか」で決めるのが一番危ういと思っています。取り消せるとはいえ、後述する2年縛りが待っているので。

インボイス登録を取り消す手続きの方法と提出期限

取り消し手続きは、登録取消届出書を1枚、納税地を管轄する税務署に提出するだけで完了します。

手間そのものは大きくない。難しいのは書類ではなく「いつ出すか」の判断です。ここを間違えると1年ずれます。

所要時間・難易度・必要な前提の確認

書類の記入自体は10〜15分。難易度は低めです。ただし提出タイミングの判断だけは慎重に。

取り消し手続きの前提整理
項目内容
所要時間記入10〜15分程度(提出方法により前後)
難易度低(記入自体は簡単、判断は要注意)
必要なもの登録番号(T+13桁)、法人番号または個人の識別情報
提出先納税地を管轄する税務署(またはインボイス登録センター)
提出方法郵送・持参・e-Tax

手元に登録通知(Tから始まる番号)を用意しておくと、記入がスムーズです。

登録取消届出書の書き方と記入例

登録取消届出書は、氏名・住所・登録番号と「取消しを求める課税期間」を書くだけのシンプルな様式です。

記入の手順はこうです。1ステップ1動作で追ってください。

  1. 提出年月日と、納税地を管轄する税務署名を書く。
  2. 氏名または名称、法人なら代表者名を記入する。
  3. 登録番号(T+13桁)を通知書のとおり正確に転記する。
  4. 「この届出書を提出することにより登録を取り消す課税期間」の初日と末日を書く。
  5. 翌課税期間から効力が生じる旨を確認し、日付が合っているか見直す。

ここまで書けていれば、記入は完了です。登録番号の桁ずれと、課税期間の日付だけは指差し確認しておくと安心。

つまずきやすいのは「取消しを求める課税期間」の欄。ここに書いた期間の“翌”期間から免税に戻る点を勘違いしないこと。

うまくいかないときは、国税庁が公開している届出書の記載要領を見返すのが早いです。様式のPDFに記入上の注意が併記されています。

e-Taxを使ったオンライン手続きの手順

e-Taxを使えば、税務署に行かずにオンラインで取り消し届出を提出できます。

  1. e-Taxソフト(Web版)またはe-Taxソフトにログインする。
  2. 「申告・申請・納税」から届出書の作成メニューを開く。
  3. 消費税の届出のなかから「登録の取消しを求める旨の届出書」を選ぶ。
  4. 画面の案内に沿って登録番号・課税期間を入力する。
  5. 電子署名を付与し、送信する。
  6. 受信通知(メッセージボックス)に受付結果が届いたか確認する。

ここまで完了して受信通知が届けば、提出は成功です。私はe-Taxの受信通知を必ずスクショで残しています。後で「出した・出してない」でもめないために。

うまくいかないときは、電子証明書の有効期限切れが原因のことが多い。マイナンバーカードの署名用証明書(5年更新)を先に確認してください。

提出期限と効力が失効する時期

登録取消届出書は、取り消したい課税期間の初日から起算して15日前の日までに提出する必要があります。

この15日前ルールを1日でも過ぎると、効力発生が1課税期間ずれます。個人事業主なら、翌年ではなく翌々年まで課税事業者を続けることになる。

提出タイミング別に見る効力発生日のシミュレーション

12月31日を課税期間の末日とする個人事業主の場合、翌年から免税に戻すには、その年の12月17日までに提出する必要があります。

「初日から15日前」を逆算すると、この日付になります。ここを外すと翌々年スタートです。

提出時期ごとの効力発生日の早見表

個人事業主(12月末決算)の提出時期別 効力発生日の目安
翌課税期間の初日は翌年1月1日。その初日から起算して15日前が提出期限。
提出した時期登録の効力がなくなる日免税に戻る課税期間
その年の12月17日まで翌年1月1日から取消し翌年から免税
12月18日〜翌年翌々年1月1日から取消し翌々年から免税

法人は決算期がバラバラなので、自社の事業年度の初日から15日前を必ず自分で計算してください。3月末決算なら3月17日ごろが目安になります。

「年末ギリギリに出せば間に合う」は危険。12月17日を過ぎると、まる1年余計に消費税を払う羽目になります。

うまくいかないときの対処と失効の確認方法

取り消しが反映されたかは、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で自分の登録番号を検索すれば確認できます。

効力発生後は、公表サイトの情報に「登録取消」や失効日が反映されます。反映まで多少ラグがあるので、慌てず数日おいてから見に行くのがコツ。

取り消し前に確認したいチェックリストと損益分岐点

インボイスやめたい…登録の取り消し方法と絶対知っておきたい注意点
インボイスやめたい…登録の取り消し方法と絶対知っておきたい注意点

取り消して得かどうかは、取引先が課税事業者中心(BtoB)か消費者中心(BtoC)かで結論がほぼ決まります。

感覚で決めず、数字とフローで判断しましょう。私が実際に自分の会社で使った考え方を載せます。

取り消しを決断する前の判断フローチャート

  1. 取引先の多くが課税事業者か? → はい、なら取り消しは慎重に(相手の仕入税額控除に影響)。
  2. 取引先から登録を求められているか? → はい、なら取り消すと取引継続に影響する可能性。
  3. 売上先が主に一般消費者か? → はい、なら取り消しのデメリットは小さい。
  4. 消費税の納税額と事務負担は、免税で減る手取りより重いか? → 重いなら取り消しを検討。
  5. 再登録の可能性はあるか? → あるなら2年縛りを織り込んで判断する。

損益分岐点の数値シミュレーション

判断の軸は「取り消して減る消費税・事務コスト」と「取引先が失う仕入税額控除への配慮コスト」の比較です。

数値は事業ごとに違うので、ここでは考え方を示します。取引先が課税事業者で、あなたへの支払に含む消費税分の控除ができなくなると、相手はその分の値下げを求めてくることがある。その値下げ幅と、あなたが免税で浮く消費税を天秤にかけるわけです。

BtoBで取引先が消費税分の値下げを求めてくるなら、免税で浮く消費税がそのまま値引きに消える恐れがある。この場合、取り消しの旨味は薄い。

業種・取引先の属性別(BtoB/BtoC)の判断ポイント

取引先の属性別 取り消し判断の目安
取引先の属性取り消しの向き不向き理由
BtoB(課税事業者が主)慎重・不向きなことが多い相手が仕入税額控除できず値下げ交渉や取引見直しの可能性
BtoC(一般消費者が主)向いていることが多い消費者は仕入税額控除に関係なく、登録の必要性が低い
BtoB+免税・簡易課税の相手中立相手が簡易課税ならインボイス不要なので影響が小さい

私の結論はシンプル。消費者相手の商売なら、正直やめて困る場面は少ない。相手が企業ばかりなら、一本連絡を入れてから決めるべきです。

インボイス登録を取り消す場合のリスクと注意点

最大のリスクは、取引先があなたの発行する請求書で仕入税額控除を受けられなくなり、取引条件の見直しや取引終了につながる点です。

制度上の落とし穴もある。ここを知らずに出すと後悔します。

取引先とのトラブルや取引終了の可能性

取り消し後、あなたは適格請求書を発行できなくなります。BtoBの取引先はその分の控除が使えなくなる。

黙って取り消して、あとで相手に気づかれるのが最悪のパターン。事前通知は必須だと考えています。

仕入税額控除や還付を受けられなくなる

取り消して免税事業者に戻ると、あなた自身も原則として仕入税額控除や消費税の還付を受けられなくなります。

設備投資が多くて還付を受けている事業者は、免税に戻ると還付が消える。ここは事前に必ず試算してください。

免税事業者に戻れないケースがある

登録を取り消しても、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えていれば、そもそも課税事業者のままです。免税には戻れません。

つまり取り消し=自動的に免税、ではない。免税に戻れるのは、もともと免税事業者の要件を満たしている場合だけです。

課税事業者選択届出書を出している場合の追加手続き

過去に「消費税課税事業者選択届出書」を出している人は、登録取消届出書だけでは免税に戻れません。

別途「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出する必要があります。この2枚セットを忘れると、登録は消えても課税事業者のまま残る。

課税事業者選択届出書を出している人は、登録取消届出書+課税事業者選択不適用届出書の2枚が必要。片方だけだと免税に戻れません。

取り消し後に知っておきたい経過措置と再登録のルール

取り消し後にまた登録すると、その登録日を含む課税期間の翌課税期間から2年間は免税に戻れない「2年縛り」がかかります。

軽い気持ちで取り消して、また必要になって再登録……この往復が一番損をします。

2割特例・簡易課税との比較

「納税が重いから取り消す」前に、負担を軽くする2割特例や簡易課税を検討する価値があります。

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中本 雄二

会社経営者 ・ 節税・補助金を実務で運用 ・ セーフティ共済・小規模企業共済を活用

中小企業の経営者。自分の会社で節税と補助金を実践してきた。税理士に任せきりにせず、制度を自分で調べて使う派。失敗や払いすぎた経験もあるからこそ、現実的な打ち手を語れる。

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