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繰延資産償却とは
繰延資産償却とは
繰延資産償却は、建物を借りるための権利金や立退料、公共的施設の負担金、開発負担金など、支出の効果が支出の日以後1年以上に及ぶ費用を、償却期間にわたって少しずつ費用にするための科目です。償却期間は支出の種類ごとに国税庁の資料で定められており、1年未満の端数は切り捨てます。償却費を損金に算入するときは、確定申告書に繰延資産の償却額の計算に関する明細書(別表16(6))を添付します。
区分:損益計算書の「販売費及び一般管理費」(会社計算規則第88条第1項第3号)
繰延資産償却の仕訳例
| 場面 | 借方 | 貸方 | 金額の条件 | 消費税区分 |
|---|---|---|---|---|
| 道路や護岸など公共的施設の設置のために支出した負担金の償却費を計上する※ | 繰延資産償却 | 繰延資産(公共的施設負担金) | 償却期間は、負担した法人が専らその施設を使用する場合はその施設の耐用年数の10分の7、それ以外の場合は耐用年数の10分の4。1年未満の端数は切り捨てる。 | 不課税国税庁 No.6209一般則 |
| 団地の周辺住民との関係を調整する施設(緩衝緑地など)の開発負担金の償却費を計上する | 繰延資産償却 | 繰延資産(開発負担金) | 償却期間は8年とされている。 | 不課税国税庁 No.6209一般則 |
| 事業年度の途中で支出した権利金等の、最初の事業年度の償却費を計上する | 繰延資産償却 | 繰延資産(権利金等) | 最初の事業年度の月数は、支出の日から事業年度末までの月数で数える。月数は暦に従って計算し、1か月に満たない端数は1か月とする。 | 不課税国税庁 No.6209一般則 |
消費税区分は、国内の事業者への通常の支払いを前提にした国税庁の一般則による判定です。区分が決まらないものは「個別に確認」とし、何で決まるかを添えています。
※は、国税庁の資料では確認できていない一般的な扱いです。自社の事情に当てはめる前に、税理士または税務署で確認してください。
繰延資産償却の消費税区分
既定の区分:不課税 繰延資産の償却費の計上は代金の支払いではないため、消費税の課税の対象になりません。元の支払いの区分は、支出したときに判断します。
税務上の注意
- 建物を借りるときに不動産業者などへ支払った仲介手数料は、繰延資産にせず、支払った事業年度の損金に算入できます。 (根拠:建物を賃借するための権利金等(国税庁 No.5460・令和8年4月1日現在法令等))
- 繰延資産の償却費を損金に算入するときは、確定申告書に別表16(6)を添付する必要があります。 (根拠:建物を賃借するための権利金等(国税庁 No.5460・令和8年4月1日現在法令等))
- 権利金の償却期間は、原則5年です。建物の新築時に建設費の大部分に当たる権利金と、借家権として転売できる権利金は別の期間になります。賃借期間が5年未満で契約の更新のたびに権利金の支払いが必要なことが明らかなときは、賃借期間です。 (根拠:建物を賃借するための権利金等(国税庁 No.5460・令和8年4月1日現在法令等))
- 開発負担金のうち、直接土地の効用を形成する施設の負担金は、繰延資産ではなく土地の取得価額に算入します。償却費にはなりません。 (根拠:宅地開発等に際して支出する開発負担金等(国税庁 No.5463・令和8年4月1日現在法令等))
迷う取引の判定表
| 迷う取引 | 判定の観点 | 入れる科目 |
|---|---|---|
| 建物を借りるために支払った権利金・立退料 | 支出の効果が支出の日以後1年以上に及ぶか | 繰延資産(償却費は繰延資産償却) |
| 建物を借りるときに不動産業者へ払った仲介手数料 | 不動産業者などに支払った手数料か | 支払った事業年度の損金(繰延資産にしない) |
| 自己の必要で行う道路・堤防・護岸などの設置や改良の費用※ | 効果が支出の日以後1年以上に及ぶか | 繰延資産(償却期間は耐用年数の10分の7または10分の4) |
| 公共的施設の設置で土地の価格が上昇したために、土地所有者や借地権者が国や地方公共団体へ納付するもの※ | 土地の価格上昇によって納付するものか | 土地の取得価額 |
| 団地内の道路・公園・公道との取付道路などの開発負担金 | 直接土地の効用を形成する施設か | 土地の取得価額 |
| 上下水道・工業用水道の負担金 | 施設自体が独立した効用を形成するか | 無形減価償却資産(水道施設利用権など。償却期間15年) |
| 団地周辺の緩衝緑地・文教福祉施設などの負担金 | 主に周辺住民との関係を調整する施設か | 繰延資産(償却期間8年) |
| 借りている建物に行った造作の費用※ | 造作した建物の耐用年数などをもとに見積もるか | 耐用年数で償却する資産(繰延資産償却とは別) |
※は、国税庁の資料では確認できていない一般的な扱いです。自社の事情に当てはめる前に、税理士または税務署で確認してください。
繰延資産償却が関わる取引
関連する様式
根拠
- 国税庁 No.5460 建物を賃借するための権利金等(令和8年4月1日現在法令等)(確認日 2026-10-28)
- 国税庁 No.5463 宅地開発等に際して支出する開発負担金等(令和8年4月1日現在法令等)(確認日 2026-10-29)
- 会社計算規則 第88条(損益計算書等の区分)(確認日 2026-10-28)
- 国税庁 No.6209 非課税と不課税の違い(令和8年4月1日現在法令等)(確認日 2026-10-28)
判断が分かれるときは税理士に確認する
繰延資産償却は、金額・使い方・相手によって科目や税務上の扱いが変わります。自社の場合にどうなるかを確かめたい方は、税理士に相談できます。
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掲載内容は耐用年数省令・国税庁の通達とタックスアンサーにもとづく一般的な整理です。個別の資産がどの区分に当たるかは、構造・用途・使い方の事実で決まります。申告の前に、最新の法令と国税庁の資料を確認し、判断に迷うときは税理士または所轄の税務署にご相談ください。
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