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貸倒損失とは
貸倒損失とは
法人が持つ売掛金や貸付金などの金銭債権が回収できなくなり、損金に入れられる事実が生じたときの損失を入れる科目です。国税庁の資料では、債権が切り捨てられた場合、債務者の資産状況などから全額が回収できないことが明らかになった場合、継続的な取引の売掛債権で取引停止後1年以上弁済がない場合などが挙げられています。売掛金など課税取引の債権が貸倒れになったときは、消費税の調整も必要です。
区分:損益計算書の「販売費及び一般管理費」(会社計算規則第88条第1項第3号)
貸倒損失の仕訳例
| 場面 | 借方 | 貸方 | 金額の条件 | 消費税区分 |
|---|---|---|---|---|
| 更生計画や再生計画の認可などで、売掛金の一部が切り捨てられた | 貸倒損失 | 売掛金 | 切り捨てられた金額。その事実が生じた事業年度の損金に入れる。 | 個別に確認売上側の貸倒れ税額控除で処理を確認 |
| 債務者の資産状況や支払能力から、売掛金の全額が回収できないことが明らかになった | 貸倒損失 | 売掛金 | 全額。担保物があるときは、処分した後でなければ損金経理はできない。 | 個別に確認売上側の貸倒れ税額控除で処理を確認 |
| 継続的な取引をしていた得意先との取引を停止し、最も遅い時から1年以上たっても弁済がない | 貸倒損失 | 売掛金 | 売掛債権の額から備忘価額を控除した残額。担保物がある売掛債権は除く。 | 個別に確認売上側の貸倒れ税額控除で処理を確認 |
| 債務超過の状態が相当期間続く得意先に、書面で債務免除を通知した | 貸倒損失 | 売掛金 | 書面で明らかにした債務免除額。 | 個別に確認売上側の貸倒れ税額控除で処理を確認 |
消費税区分は、国内の事業者への通常の支払いを前提にした国税庁の一般則による判定です。区分が決まらないものは「個別に確認」とし、何で決まるかを添えています。
貸倒損失の消費税区分
貸倒損失は代金の支払いではなく、貸倒れとなった売掛金等に含まれる消費税額を、貸倒れが発生した課税期間の売上げに対する消費税額から控除して調整します。
税務上の注意
- 債務者の全額が回収できないことが明らかになった場合でも、担保物があるときは、担保物を処分した後でなければ損金経理はできません。保証債務は、現実に履行した後でなければ貸倒れの対象にできません。 (根拠:貸倒損失として処理できる場合(国税庁 No.5320・令和8年4月1日現在法令等))
- 取引停止後の貸倒れ処理は、売掛債権が対象で、貸付金などは含みません。たまたま取引した債務者への不動産取引の売掛債権にも、この取扱いは適用がありません。 (根拠:貸倒損失として処理できる場合(国税庁 No.5320・令和8年4月1日現在法令等))
- 消費税の貸倒れの調整は、課税対象となる取引の売掛金等が貸倒れになった場合に限られます。貸倒れの金額に消費税が含まれるときは、その金額を使って控除する消費税額を計算します。 (根拠:貸倒れに係る税額の調整(国税庁 No.6367・令和8年4月1日現在法令等))
- 貸倒れの金額の合計額に110分の7.8(軽減税率の対象は108分の6.24)を掛けて消費税額を出し、1円未満は切り捨てます。控除を受けるには、貸倒れの事実を明らかにする書類の保存が必要です。 (根拠:貸倒れに係る税額の調整(国税庁 No.6367・令和8年4月1日現在法令等))
- 貸倒れとして消費税を控除した後にその債権を回収したときは、回収した分に含まれる消費税額を、回収した課税期間の消費税額に加算します。回収した貸倒債権の額は税込みの金額です。 (根拠:貸倒債権を回収したときの消費税額の計算(国税庁 No.6631・令和8年4月1日現在法令等))
迷う取引の判定表
| 迷う取引 | 判定の観点 | 入れる科目 |
|---|---|---|
| 継続的な取引先への売掛金が、取引停止後も弁済されない | 取引停止の時と最後の弁済の時などのうち最も遅い時から1年以上たち、担保物がないか | 貸倒損失(売掛債権の額から備忘価額を控除した残額) |
| 取引先への貸付金が、取引停止後も返ってこない | 取引停止後1年の取扱いは売掛債権が対象で、貸付金は含まれない。全額が回収不能と明らかかなど別の事実を確認する | 別の事実が確認できれば貸倒損失 |
| たまたま行った不動産取引の売掛債権が回収できない | 取引停止後1年の取扱いは適用がない。全額が回収不能と明らかかなど別の事実を確認する | 別の事実が確認できれば貸倒損失 |
| 担保物のある債権が回収できない | 担保物を処分した後か | 処分した後に貸倒損失 |
| 保証債務を負っている | 現実に履行した後か | 履行した後に貸倒れの対象として検討 |
| 同一地域の債務者への売掛債権の総額が取立費用より少なく、督促しても弁済がない | 売掛債権であるか。総額と取立費用を比べる | 貸倒損失(売掛債権の額から備忘価額を控除した残額) |
| 回収が不安な売掛金だが、貸倒れの事実はまだない | 切捨てや全額回収不能などの事実が生じているか | 貸倒損失には入れず、貸倒引当金の対象かを別に確認する |
貸倒損失が関わる取引
関連する様式
- 別表十一(一) 個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書
- 別表十一(一の二) 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書
- 申告書第一表(一般用) 消費税及び地方消費税の申告書(一般用)
- 申告書第一表(簡易課税用) 消費税及び地方消費税の申告書(簡易課税用)
根拠
- 国税庁 No.5320 貸倒損失として処理できる場合(令和8年4月1日現在法令等)(確認日 2026-10-29)
- 国税庁 No.6367 貸倒れに係る税額の調整(令和8年4月1日現在法令等)(確認日 2026-10-29)
- 国税庁 No.6631 貸倒債権を回収したときの消費税額の計算(令和8年4月1日現在法令等)(確認日 2026-10-29)
- 会社計算規則 第88条(損益計算書等の区分)(確認日 2026-10-28)
判断が分かれるときは税理士に確認する
貸倒損失は、金額・使い方・相手によって科目や税務上の扱いが変わります。自社の場合にどうなるかを確かめたい方は、税理士に相談できます。
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掲載内容は耐用年数省令・国税庁の通達とタックスアンサーにもとづく一般的な整理です。個別の資産がどの区分に当たるかは、構造・用途・使い方の事実で決まります。申告の前に、最新の法令と国税庁の資料を確認し、判断に迷うときは税理士または所轄の税務署にご相談ください。
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