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個人事業税はいくら?計算方法と所得別シミュレーションで解説

中本 雄二 / 更新:2026-07-04
「自分の個人事業税っていくらになるんだ?」と気になって計算式を調べても、事業主控除290万円がどう効くのか、自分の業種が課税対象なのかで手が止まりませんか。結論から言うと、個人事業税は『(所得-各種控除-290万円)×業種ごとの税率(3〜5%)』で計算でき、所得が290万円以下なら基本的にかかりません。
  • 個人事業税は「(事業所得-事業主控除290万円)×税率」で計算する。
  • 事業主控除290万円があるため、所得290万円以下なら原則として税額は0円になる。
  • 税率は業種によって3%・4%・5%の3区分に分かれ、法定70業種が課税対象になる。
  • 確定申告をしていれば個人事業税の申告は原則不要で、8月頃に都道府県から納税通知書が届く。
  • 納付は原則8月・11月の年2回で、支払った個人事業税は全額を必要経費に計上できる。

個人事業税とは?仕組みと納める人をわかりやすく解説

いきなりやってくる「個人事業税」って何だ!?節税の対策も教えます
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個人事業税とは、法律で定められた70の業種を営む個人事業主が、事業所得に応じて都道府県に納める地方税です。

私も会社を興す前は個人事業主だった時期があって、正直この税金の存在を知らずに驚いた口です。所得税や住民税と違い、都道府県が課税する点がポイント。

納める先が国ではなく都道府県、というのがまず頭の整理になります。

個人事業税の対象となる納税者

個人事業税を納めるのは、法定業種に該当する事業を営み、事業所得が事業主控除290万円を超える個人事業主です。

逆に言うと、所得が290万円以下なら税額は0円。開業したばかりで利益がまだ小さいうちは、かからないケースも多いんです。

東京都主税局によると、個人事業税は事業を行う事務所や事業所が所在する都道府県で課税されます。

前年所得を基に計算される仕組み

個人事業税は、前年1年間(1月〜12月)の事業所得を基に計算され、翌年に課税されます。

ここが資金繰りで見落としやすいところ。よく売れた年の翌年に納税通知が来るので、「稼いだお金を全部使ってしまって払えない」という事態が起きます。

個人事業税は前年所得に対して課税されます。利益が大きかった年は、翌年8月の納税に備えて税額分を別口座に取り分けておくと安全です。

確定申告をしていれば申告は原則不要

所得税の確定申告や住民税の申告をしていれば、個人事業税の申告は原則として別途行う必要はありません。

確定申告のデータが都道府県に共有されるため、そこから自動で計算される仕組みです。私も個人事業主時代、個人事業税のためだけに何かを提出した記憶はありません。

ただし確定申告をしていない人や、事業を廃止した人は個別の申告が必要になる場合があります。

個人事業税はいくら?計算方法と所得別シミュレーション

個人事業税は「(事業所得+所得税の事業専従者給与などの調整-各種控除-事業主控除290万円)×税率」で計算します。

難しく見えますが、多くの人はまず「事業所得から290万円を引いて、残りに税率を掛ける」で大枠がつかめます。以下、具体的な数字で見ていきましょう。

基本の計算式と計算手順

計算の手順はシンプルです。順番に当てはめれば自分の税額が出ます。

  1. 前年の事業所得(収入-必要経費)を出す。
  2. 繰越控除など該当する控除があれば差し引く。
  3. 事業主控除290万円を差し引く。
  4. 残った金額(課税所得)に業種ごとの税率(3〜5%)を掛ける。

注意したいのは、所得税で使う青色申告特別控除(最大65万円)は、個人事業税の計算では差し引けない点。ここは後の章で詳しく触れます。

所得金額別の税額シミュレーション実例

税率5%(第1種事業)を前提に、事業所得別の税額を試算しました。自分の所得に近い行を見てください。

事業所得別の個人事業税シミュレーション(税率5%・第1種事業の場合)
事業主控除290万円を差し引いた課税所得に税率5%を掛けて算出。青色申告特別控除は個人事業税では控除できないため考慮していません。
事業所得事業主控除後の課税所得個人事業税(税率5%)
290万円以下0円0円
350万円60万円3万円
500万円210万円10万5,000円
700万円410万円20万5,000円
1,000万円710万円35万5,000円

改めて数字で見ると、事業主控除290万円のインパクトは大きい。所得500万円でも課税されるのは210万円分だけです。

税率が4%や3%の業種なら、この金額はさらに下がります。

事業期間が1年未満の場合の月割計算

開業年や廃業年など事業期間が1年に満たない場合、事業主控除290万円は営業した月数に応じて月割りで適用されます。

たとえば10月開業なら、その年の営業月数は3か月(10・11・12月)。控除額は290万円×3か月÷12か月=72万5,000円になります。

開業初年は控除290万円が満額使えるとは限りません。営業月数が少ないほど控除も月割りで減る点に注意してください。

事業主控除290万円の適用条件と月割計算

事業主控除290万円は、個人事業税を計算するすべての事業主に一律で適用される控除です。

この控除があるおかげで、所得290万円までは個人事業税がかからない。まさに個人事業主にとっての防波堤みたいな存在です。

控除290万円が差し引ける仕組み

事業主控除290万円は、事業を1年間通して営んだ場合に満額が差し引けます。

この額は所得の大小に関係なく一律。年間営業していれば、所得が1,000万円でも300万円でも、引ける控除は同じ290万円です。

前述の東京都主税局の案内でも、事業主控除は年290万円(営業期間が1年未満の場合は月割額)と明記されています。

開業年・廃業年の月割適用例

事業期間が1年未満の年は、営業した月数に応じて控除額が変わります。1か月未満の端数がある場合は1か月として計算します。

営業月数別の事業主控除額(月割計算)
控除額=290万円×営業月数÷12。1か月未満の端数は1か月に切り上げて計算します。
営業月数計算式事業主控除額
3か月290万円×3÷1272万5,000円
6か月290万円×6÷12145万円
9か月290万円×9÷12217万5,000円
12か月290万円×12÷12290万円

開業初年に思ったより税額が高く出るのは、この月割りが原因であることが多い。私の周りでも「290万円引けると思っていた」とつまずく人がいました。

個人事業税がかかる業種と税率一覧

【初心者向け】所得税はこうやって計算する!知らないと損する税金の基本
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個人事業税の対象は法律で定められた70業種で、税率は事業の種類に応じて3%・4%・5%の3区分に分かれます。

自分の仕事がどの区分に入るかで税額が変わるので、ここはしっかり確認したいところです。

第1種・第2種・第3種事業の税率区分と業種

多くの業種が税率5%の第1種事業に該当します。第2種は畜産業など、第3種は医業や一部の自由業が該当します。

個人事業税の区分・税率と主な業種
東京都主税局の区分に基づく。第3種事業のうち、あん摩・マッサージ・鍼灸・柔道整復その他の医業に類する事業などは税率3%。
区分税率主な業種の例
第1種事業5%物品販売業、飲食店業、製造業、不動産貸付業、運送業、請負業など
第2種事業4%畜産業、水産業、薪炭製造業
第3種事業5%医業、歯科医業、弁護士業、税理士業、美容業、理容業、コンサルタント業など
第3種事業(一部)3%あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復業、装蹄師業

個人事業税がかからない業種

法定70業種に該当しない事業は、個人事業税の課税対象外です。

代表例が、文筆業・画家・作曲家などの芸術系や、一部のスポーツ選手。これらは法定業種に含まれないため、原則として個人事業税がかかりません。

農業(畜産・水産を除く林業や農業の一部)も課税対象外となる場合があります。ここは自分の都道府県の区分を確認するのが確実です。

フリーランス・IT関連など判断が難しいケース

フリーランスのシステムエンジニアやウェブ制作者は、実態として「請負業」に該当し第1種事業(税率5%)と判断されることが多いです。

ここが本当にややこしい。同じ「ライター」でも、純粋な文筆業なら非課税、企業案件の受託が中心だと請負業とみなされる余地があります。

正直、判断に迷ったら自己判断で決めつけず、事業所のある都道府県税事務所に電話で確認するのが一番早い。私はグレーな税務判断は必ず窓口で聞くようにしています。

IT系フリーランスや業態が複合するケースは、課税区分を自己判断しないこと。都道府県税事務所に業務内容を伝えて確認すれば、後の思わぬ課税を防げます。

複数業種を営む場合や他の控除の扱い

複数の業種を営む場合は、業種ごとに所得を分けてそれぞれの税率で計算し、合算します。

控除の扱いも所得税とは違う点があるので、ここを押さえておくと税額の見通しが立てやすくなります。

複数業種を営む場合の税額計算

複数業種の場合でも、事業主控除290万円は全体で1回だけ差し引きます。業種ごとに290万円を引けるわけではありません。

実務上は、全体の所得から290万円を控除したうえで、各業種の所得割合に応じて按分し、それぞれの税率を掛けて合算する形になります。

税率が同じ業種同士なら計算はシンプルですが、税率の異なる業種をまたぐ場合は按分が必要。ここは確定申告のデータをもとに都道府県が計算してくれるので、自分でやるのは検算程度で構いません。

適用できる控除の種類

個人事業税では、事業主控除290万円のほか、繰越控除(損失の繰越)や被災事業用資産の損失の繰越などが適用できます。

  • 事業主控除:年290万円(営業月数が1年未満なら月割)。
  • 損失の繰越控除:青色申告者が対象で、繰り越した損失を翌年以降の所得から控除できる。
  • 被災事業用資産の損失の繰越控除:白色申告者でも震災・風水害等による損失を繰り越せる。

所得税・住民税との課税所得の違い

個人事業税と所得税で最も大きく違うのは、青色申告特別控除(最大65万円)と各種の所得控除が個人事業税では差し引けない点です。

所得税では基礎控除や社会保険料控除、扶養控除などが引けますが、個人事業税ではこれらは使えません。使えるのは事業主控除290万円と繰越控除などに限られます。

個人事業税の課税所得は、所得税より高くなりがちです。青色申告特別控除65万円が使えないため、「所得税がかからなかったのに個人事業税は請求が来た」というケースが起こります。

個人事業税の申告・納付方法と注意点

個人事業税は、8月頃に都道府県から届く納税通知書に従い、原則8月・11月の年2回に分けて納付します。

自分で税額を計算して申告するのではなく、届いた通知書の額を払う流れ。ここは所得税とは大きく違います。

申告方法と納付時期

確定申告をしていれば個人事業税の申告は原則不要で、都道府県が税額を計算して通知します。

納付は原則として第1期が8月末、第2期が11月末の年2回。税額が少額の場合は8月に一括となることもあります。

納付方法は、金融機関やコンビニでの窓口払いのほか、口座振替、クレジットカード払い、地方税のオンライン納付などに対応する都道府県が増えています。

納付が遅れた場合の延滞金やペナルティ

納期限を過ぎると、納付日までの日数に応じて延滞金が加算されます。

延滞金の割合は年ごとに見直されますが、放置すれば財産の差押えに至ることもある。地方税は待ってくれません。

正直なところ、延滞金の利率は金融機関の借入より高くつくことが多い。払えないと分かった時点で、都道府県税事務所に相談して分割などを申し出るほうが得策です。

減免制度や災害時の特例措置

災害による被害や、生活が著しく困難になった場合など、一定の要件を満たすと個人事業税の減免を受けられる制度があります。

減免は自動では適用されません。納期限までに申請が必要な場合が多いので、被災したらまず都道府県税事務所に問い合わせてください。

個人事業税は経費にできる

支払った個人事業税は、その全額を事業の必要経費に計上できます。

これは所得税や住民税とは違う、うれしいポイント。所得税・住民税は経費になりませんが、個人事業税は「租税公課」として全額落とせます。

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中本 雄二

会社経営者 ・ 節税・補助金を実務で運用 ・ セーフティ共済・小規模企業共済を活用

中小企業の経営者。自分の会社で節税と補助金を実践してきた。税理士に任せきりにせず、制度を自分で調べて使う派。失敗や払いすぎた経験もあるからこそ、現実的な打ち手を語れる。

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