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法人決算を自分でやる方法|8つの手順と申告のやり方を解説

中本 雄二 / 更新:2026-07-04
「税理士に払う顧問料が正直きつい。決算くらい自分でできないか」——私も創業当初、同じことを考えて自分で決算をやりました。結論から言うと、小規模で取引がシンプルな法人なら、会計ソフトを使えば自力で決算・申告まで完結できます。ただし、役員報酬や減価償却など法人特有の落とし穴は先に押さえておかないと痛い目を見ます。
  • 法人決算は帳票整理から申告・納税までの8ステップで進める。
  • 小規模で取引が少ない法人なら、会計ソフトを使えば自分で申告まで完結できる。
  • 法人税申告は決算日の翌日から2か月以内に行うのが原則の期限。
  • 初回はまとまった時間がかかるが、2回目以降は仕組みができて大幅に短縮する。
  • 役員報酬・減価償却・消費税の処理を間違えると税務調査で指摘されやすい。

法人決算を自分でやる前に知っておく所要時間と難易度

【法人決算】自分でやる方法や必要書類、メリット・デメリットを解説
【法人決算】自分でやる方法や必要書類、メリット・デメリットを解説

法人決算を自分でやる難易度は「取引の複雑さ」で決まり、月数十件程度の取引なら会計ソフトを使って自力で完結できる水準です。

正直に言うと、簿記の知識ゼロからいきなり全部を手作業でやるのはおすすめしません。私が最初にやったときは、ソフトの力を借りてなお週末が2回まるまる潰れました。

初回と2回目以降でかかる時間・工数の目安

初回は帳票整理と入力に一番時間を取られます。1年分の領収書や請求書を仕訳に落とす作業が重いからです。

2回目以降は、勘定科目の対応や仕訳のパターンが自分の中に決まってくるので一気に楽になります。私の実感では、初回にかかった時間の半分以下で回せるようになりました。

ポイントは、月次でこまめに入力しておくこと。決算月にまとめてやろうとすると必ず破綻します。

必要な道具・書類・前提条件

自分で決算をやるなら、最低限そろえる書類と道具は決まっています。

  • 1年分の請求書・領収書・レシート(売上と経費の証憑)
  • 預金通帳またはネットバンキングの入出金明細
  • 現金出納帳・売掛金や買掛金の残高がわかる資料
  • 給与・役員報酬の支払記録と源泉徴収の記録
  • 固定資産(車・パソコンなど)の購入時の書類
  • 会計ソフトとe-Tax・eLTAXを使うための電子証明書やマイナンバーカード

前提条件として、電子申告をするなら国税庁のe-Taxと地方税のeLTAXの利用開始手続きが要ります。ここは早めに済ませておくと後で慌てません。

税理士なしで自力対応できる事業規模の判断基準

自力対応の可否は、取引の量と特殊性で線を引くのが現実的です。

自力決算の難易度めやす(規模・業種別)
タイプ自力の可否理由
役員1人のマイクロ法人・取引少やりやすい仕訳がシンプルで科目も限られる
従業員数名・在庫なしのサービス業がんばれば可能給与計算が加わるが定型化しやすい
在庫を持つ小売・製造業難しめ棚卸資産の評価や原価計算が絡む
外貨・海外取引・複雑な資本政策あり税理士推奨専門判断が多くミスの代償が大きい
在庫の棚卸や外貨取引が絡むなら、無理せず税理士に相談したほうが結局は安上がりです。ミスを税務調査で指摘されると追徴と手間が跳ね上がります。

そもそも法人決算とは?申告までの全体の流れ

法人決算とは、1事業年度の取引をまとめて会社の利益と財産の状態を確定させ、決算書を作る一連の作業です。

そのうえで、確定した利益をもとに税金を計算して申告・納税する。ここまでがワンセットだと考えてください。

法人決算と税務申告の違い

決算は「会社の成績と財産を確定する作業」、税務申告は「その結果に税法のルールを当てはめて税額を出す作業」です。

会計上の利益と、税金を計算するときの所得は一致しません。ここを調整するのが法人税申告書の別表という書類の役割です。会計の利益にプラスマイナスの調整を加えて、課税される所得を出します。

決算スケジュールと提出期限を逆算するタスク管理

法人税・消費税の申告と納税は、原則として決算日の翌日から2か月以内が期限です。地方税も同じタイミングで申告します。

3月決算なら5月末が期限、という具合です。ここから逆算してタスクを置くと迷いません。

3月決算を例にした逆算スケジュール
時期やること
決算月まで月次の仕訳入力を済ませておく
決算日の直後棚卸・残高確認・決算整理仕訳
決算後3〜4週間決算書の作成と株主総会での承認
決算後5〜7週間法人税・地方税・消費税の申告書作成
決算日翌日から2か月以内電子申告と納税を完了
納税資金は申告期限までに現金で用意する必要があります。利益が出ていても手元にお金がないと払えません。ここは早めに逆算しておくべきです。

法人決算を自分で行う手順を8ステップで解説

法人決算の手順は、帳票整理・データ入力・試算表作成・決算整理・決算書作成・承認・申告納税・保存の8ステップで進めます。

1ステップずつ「ここまでできていればOK」の目安を添えて説明します。会社の決算の流れは、この順番で崩さないのがコツです。

帳票整理からデータ入力・試算表の作成まで

ステップ1は帳票整理。請求書・領収書・通帳明細を月ごと・種類ごとに分けます。目安は「探さずに取り出せる状態」になっていること。

ステップ2はデータ入力。整理した証憑を会計ソフトに仕訳として登録します。銀行明細を連携させると入力の大半が自動化できて、転記ミスも減ります。

ステップ3は試算表の作成。ここまでの入力を集計した表で、借方と貸方の合計が一致していれば入力に大きな漏れはありません。残高がマイナスの科目がないかも確認します。

うまくいかないとき——試算表で預金残高が通帳と合わないなら、入力漏れか二重計上が原因のことがほとんどです。通帳の月末残高と突き合わせれば見つかります。

決算整理仕訳と決算書類の作成

ステップ4は決算整理。減価償却費の計上、棚卸資産の確定、前払費用や未払費用の調整など、期をまたぐ項目を正しい年度に振り分けます。

ステップ5は決算書類の作成。決算整理を反映すると、貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表ができあがります。

目安は、損益計算書の当期純利益と、貸借対照表の繰越利益剰余金の増減が整合していること。ここがズレていたら決算整理のどこかを見直します。

取締役会・株主総会での承認と決算書の保存

ステップ6は承認。作った決算書を株主総会で承認してもらいます。1人株主の会社でも、承認の手続きと議事録の作成は必要です。

ステップ7は各種税金の申告・納税。ステップ8は決算書と帳簿の保存です。帳簿書類は原則7年間の保存が必要で、欠損金の繰越がある年度は10年間の保存が求められます。

この手順どおりに8ステップを終えれば、決算書の作成から申告・納税・保存まで自分で完結できます。

法人税・地方税・消費税の申告書を自分で作る手順

【法人決算】やり方と流れ、必要書類などを解説
【法人決算】やり方と流れ、必要書類などを解説

税額は、決算で確定した所得に法人税・地方税・消費税それぞれのルールを当てはめて計算します。

難しく見えますが、会計ソフトの申告機能を使えば数字が自動で連動します。仕組みを理解したうえで、ソフトに任せる部分を割り切るのが現実的です。

法人税・地方税それぞれの計算例と均等割の注意点

法人税は会計の利益を別表で調整した所得に税率をかけて計算します。地方税(法人住民税・事業税)はその法人税額などをもとに計算します。

見落としやすいのが法人住民税の均等割です。均等割は赤字でも課税されます。資本金や従業員数で金額が決まり、赤字だから税金ゼロにはならない、という点を先に知っておいてください。

均等割の金額や区分は自治体ごとに異なります。提出先も国税は税務署、地方税は都道府県と市区町村に分かれるので、宛先を間違えないよう注意します。

消費税の課税事業者・インボイス対応と影響

消費税は、課税事業者に該当する法人だけが申告します。インボイス発行事業者に登録した法人は、売上規模にかかわらず消費税の申告義務が生じます。

消費税の計算は、預かった消費税から支払った消費税を差し引く原則課税と、売上に一定割合をかける簡易課税があります。どちらが有利かは業種で変わるので、選択届の期限とあわせて事前に検討します。

e-Tax・eLTAXを使った電子申告の操作手順

電子申告は、国税(法人税・消費税)をe-Tax、地方税をeLTAXで行います。

  1. e-Tax・eLTAXの利用者登録を済ませ、電子証明書を用意する
  2. 会計ソフトで作成した申告データを各システムに読み込む
  3. 入力内容と添付書類(決算書など)を画面で確認する
  4. 電子署名を付けて送信する
  5. 受信通知(受付結果)を保存しておく

つまずきやすいのは電子証明書の準備です。ここに時間がかかるので、申告直前ではなく余裕を持って手続きしてください。送信後の受信通知は、確かに申告した証拠になるので必ず保存します。

自分で決算するとき迷いやすい実務ポイントと対処法

自力決算で判断に迷うのは、役員報酬・減価償却・欠損金という法人特有の3つの論点にほぼ集約されます。

ここを外すと税額が大きく変わったり、税務調査で指摘されたりします。私が実際につまずいた順に整理します。

役員報酬・役員貸付金など法人特有の処理

役員報酬は原則として毎月同額でなければ、経費として認められない部分が出ます。期の途中で自由に増減させると否認されるリスクがあります。

金額を変えられるのは、原則として期首から一定期間内に決めた改定のタイミングだけ。ここは経費算入の要件が厳しいので、決算・申告の前に必ず確認してください。

会社から役員へお金を貸す役員貸付金も要注意です。放置すると利息の認定などで指摘されやすい項目です。

減価償却・繰延資産の決算整理仕訳の計算

高額な資産は買った年に全額を経費にできず、耐用年数に応じて減価償却で分けて計上します。

例えば耐用年数の期間に応じて毎年一定額を費用にしていく、という考え方です。中小企業には一定額まで一括で経費にできる特例もあるので、対象になるか確認する価値があります。

減価償却の計算はソフトが自動でやってくれますが、資産の登録日と耐用年数の入力を間違えると全部ずれます。ここは自分で数字を見て検算するのが安全です。

赤字決算・欠損金繰越の申告実務

赤字(欠損金)が出た年は、青色申告をしていればその赤字を翌年以降に繰り越し、将来の黒字と相殺できます。

この繰越を使うには、赤字の年もきちんと申告書を提出しておくことが条件です。「赤字だから申告しなくていい」は誤りで、申告しないと繰越の権利を失います。

赤字でも申告は必要です。均等割の納税があり、欠損金の繰越にも申告書の提出が前提になります。ここを省略すると損をします。

自力決算でよくある失敗事例とチェックリスト

自力決算の失敗の多くは、勘定科目の付け間違いと、証憑の保存漏れという単純なところで起きます。

私自身、最初の年に交際費と会議費の区分をいい加減にして、あとで整理し直す羽目になりました。地味ですが効く失敗です。

税務調査で指摘されやすいポイント

税務調査で見られやすいのは、経費の私的支出の混入、役員報酬の変更、売上の計上時期、消費税の区分です。

  • 個人的な支出を経費に混ぜていないか
  • 役員報酬を期中に不当に動かしていないか
  • 売上を翌期にずらして計上していないか
  • 現金取引の記録が抜けていないか
  • 消費税の課税・非課税の区分を間違えていないか

提出前に確認する決算・申告チェックリスト

申告データを送信する前に、次を上から順に確認してください。

  1. 試算表の借方合計と貸方合計が一致している
  2. 預金残高が通帳の期末残高と一致している
  3. 減価償却費の資産登録と耐用年数が正しい
  4. 役員報酬が毎月同額で計上されている
  5. 損益計算書の利益と別表の調整が整合している
  6. 均等割を含めて納税額を確認している
  7. 電子申告の受信通知を保存した

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中本 雄二

会社経営者 ・ 節税・補助金を実務で運用 ・ セーフティ共済・小規模企業共済を活用

中小企業の経営者。自分の会社で節税と補助金を実践してきた。税理士に任せきりにせず、制度を自分で調べて使う派。失敗や払いすぎた経験もあるからこそ、現実的な打ち手を語れる。

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