役員報酬の社会保険料はいくら?計算・節約シミュレーションを徹底解説

厚生年金の料率は18.3%で固定、折半なので本人も会社も9.15%ずつ。ここを押さえるだけで、報酬設定の見え方がガラッと変わります。
この記事では、計算方法と等級表の見方、報酬額別の手取り比較、賞与に寄せる方法の落とし穴、改定時の月額変更届の実務までまとめました。私自身が会社で試算して失敗した話も正直に書きます。
役員報酬の社会保険料とは?まず知っておきたい基本

まず大前提から。法人の取締役や監査役など役員は、健康保険・厚生年金の対象になり得ます。健康保険法・厚生年金保険法で、法人の役員は原則として被保険者の適用対象に含まれるからです。

社会保険(健康保険・厚生年金)の仕組みのおさらい
役員報酬から発生する社会保険料の中心は、健康保険料と厚生年金保険料です。雇用保険や労災保険は原則「労働者」のための制度なので、役員は通常の従業員と扱いが違います。
40歳以上65歳未満になると、介護保険料が健康保険料に上乗せされます。ここを忘れて試算すると、40歳の誕生日を境に手取りが減って驚くことになります。
役員と従業員で社会保険の考え方はどう違うか
従業員は「労働時間や雇用契約」で加入を判断します。役員は違う。役員の地位、報酬の有無、常勤か非常勤かで判断されます。
だから役員報酬がゼロや低額でも、未加入が必ず認められるわけではありません。常勤の代表者なら、報酬の額だけで線引きできない場面があります。
給与(役員報酬)と賞与(事前確定届出給与)の違い
役員報酬は毎月定額で支払う給与。賞与に当たるのが「事前確定届出給与」で、事前に税務署へ届け出た金額・日付で支給します。
社会保険料は毎月の報酬には標準報酬月額、賞与には標準賞与額をもとにかかります。この2本立てを理解しておくと、後で出てくる「賞与に寄せる節約」の話がわかりやすくなります。
会社負担分と個人負担分の保険料率と負担割合
健康保険料・厚生年金保険料は、原則として会社と本人で半分ずつ。厚生年金の料率は18.3%で固定なので、折半すると本人9.15%・会社9.15%です。
健康保険料率は都道府県ごとに異なり、協会けんぽが毎年度改定します。全国一律ではないので、自社の支部の率を必ず確認してください。
| 項目 | 本人負担 | 会社負担 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 厚生年金保険料 | 9.15% | 9.15% | 料率18.3%を折半(固定) |
| 健康保険料 | 約半分 | 約半分 | 都道府県ごとに率が異なる |
| 介護保険料(40〜64歳) | 約半分 | 約半分 | 健康保険料に上乗せ |
役員報酬の社会保険料はいくら?計算方法とシミュレーション
ここが一番知りたいところだと思います。保険料は役員報酬の実額そのままではなく、標準報酬月額という区分に当てはめて計算します。

標準報酬月額の決め方と等級表の見方
毎月の報酬を等級区分に当てはめて、標準報酬月額が決まります。例えば報酬が等級の境目をまたぐと、保険料がワンランク上がる仕組みです。
等級表は協会けんぽの保険料額表で確認できます。自分の報酬額がどの等級に入るか、まずここで見るのが出発点です。
報酬額別に見る社会保険料と手取りの比較
率で考えるとシンプルです。厚生年金は本人9.15%、健康保険は協会けんぽの率(都道府県別)の半分。介護保険該当者はさらに上乗せ。
具体的な金額は、お住まいの支部の保険料額表で標準報酬月額に対応する額を読めば一目で出ます。私は月50万と月80万の2案を額表で並べて、保険料の差を見てから決めました。
実際の計算例でわかる保険料の出し方
厚生年金だけで計算してみます。標準報酬月額が30万円なら、本人負担は30万円×9.15%=27,450円。会社も同額です。
健康保険はここに支部ごとの率の半分を足し、40歳以上なら介護保険分も加わります。料率は変動するので、最新の額表に当てはめて出すのが確実です。
役員報酬の社会保険料を抑える設定の考え方と注意点
正直に言うと、ここで失敗する人が多い。保険料を減らしたい一心で報酬を下げると、別のところで損をします。

役員報酬を低くして賞与に寄せた場合の影響
月の報酬を下げて事前確定届出給与(賞与)に寄せる手法があります。標準賞与額にも保険料はかかりますが、上限の関係で総額の保険料が下がるケースがあります。
ただし注意。賞与は事前に届け出た金額・日付どおりに払わないと、損金算入で問題になります。1円ズレても全額否認のリスクがあるので、私はこの方法を使うとき税理士と日付まで詰めました。
役員報酬0円・低額に設定したときの加入可否と扶養への影響
報酬0円なら保険料はゼロ。でも常勤の代表者だと、社会保険上の扱いが問題になることがあります。報酬の有無だけで未加入を主張できるとは限りません。
さらに将来の厚生年金が積み上がらず、扶養や融資審査で「役員報酬ゼロの社長」と見られる難点もあります。目先の保険料だけで決めると後悔します。
社会保険料と法人税・所得税を合わせたトータルの負担で考える
役員報酬は会社の損金になり、その分法人税が下がります。一方で報酬が増えれば個人の所得税・社会保険料が増える。綱引きです。
私の結論はこうです。社会保険料単体ではなく、法人税・所得税・保険料をまとめた手残りで比べる。報酬を下げすぎて法人に利益が残り、結局法人税で持っていかれた、というのが私の最初の失敗でした。
役員の社会保険の加入義務と就任・改定時の手続き

法人を設立したら、原則として社会保険の加入手続きが必要です。法人事業所は適用事業所として届出対象になります。

会社役員の加入義務と非常勤役員の要件
常勤の役員は原則加入対象です。非常勤役員は、勤務実態や報酬、業務への関与度などから個別に判断されます。
名前だけの非常勤で実態がなければ加入対象外という整理になりやすいですが、形式だけで判断されるわけではない点に注意してください。
役員就任時の加入手続きとオンライン申請
就任時は被保険者資格取得届などを年金事務所へ提出します。電子申請にも対応しているので、紙より早く済みます。
報酬改定時の月額変更届(随時改定・定時改定)
定時改定は毎年。算定基礎届を7月1日〜7月10日に提出し、4〜6月の報酬で標準報酬月額を見直します。
随時改定は、固定的賃金が変わって3か月の平均が2等級以上動いたときに月額変更届を出します。役員報酬を期首に改定したら、この届出を忘れないこと。
ケース別に見る役員報酬の社会保険料の取り扱い
自分の事情で扱いが変わるか不安、という声が多いです。代表的な3ケースを整理します。標準報酬月額で計算する原則は共通しています。

複数事業所から役員報酬を受け取る場合の按分計算
2つの法人から役員報酬が出る場合、二以上事業所勤務の届出が必要です。両方の報酬を合算して標準報酬月額を決め、各事業所の報酬額で按分して保険料を負担します。
片方だけで考えると過少になります。合算で等級が上がる点を見落とさないでください。
70歳・75歳以上の高齢役員の保険料の扱い
70歳以上になると厚生年金の被保険者からは外れますが、在職老齢年金など別の取り扱いが関わります。75歳以上は後期高齢者医療制度の対象になり、健康保険の扱いが変わります。
高齢の役員が在籍する会社は、年齢の節目で保険料の構成が変わると覚えておくと手続き漏れを防げます。
役員報酬の未払い・支給遅延があったときの扱い
資金繰りで役員報酬を未払いにしても、社会保険料の負担そのものは原則として続くという整理に注意が必要です。
未払い役員報酬は税務上も論点になりやすい。私は一度、資金が苦しい月に報酬を止めようとして、保険料と税務の両面で面倒なことになりかけました。安易に止めないのが無難です。
社会保険料の会計処理と損金算入の実務
最後に実務の話。保険料は会社負担分と本人負担分を分けて処理します。ここを雑にすると決算でつまずきます。

保険料の仕訳と勘定科目
会社負担分は「法定福利費」で費用処理します。本人負担分は役員報酬から天引きし、預り金として処理して納付時に相殺します。
天引き分を法定福利費に混ぜると二重計上になります。私はここを一度間違えて、顧問税理士に直してもらいました。
損金算入の取り扱いと注意点
会社負担分の社会保険料(法定福利費)は損金に算入できます。ここは素直に経費です。
問題は役員報酬本体と賞与のほう。事前確定届出給与は届出どおりに支給しないと損金不算入になります。保険料の処理より、こちらの取り扱いミスのほうが金額インパクトは大きいです。
【独自試算】設定別シミュレーションでわかる最適な役員報酬

ここは私が自社で実際に並べて比べた視点です。同じ報酬でも「何を優先するか」で正解が変わります。料率は厚生年金18.3%(折半9.15%)を前提に、考え方を整理しました。

| 優先したいこと | 報酬設定の方向 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 手取りを増やす | 保険料・税のトータルで最適点を探す | 目先の現金が残りやすい | 年金が薄くなる |
| 将来の年金 | 標準報酬月額を高めに維持 | 厚生年金の受給額が増える | 毎月の保険料は重い |
| 法人に利益を残す | 報酬を抑える | 法人で資金を回せる | 法人税で相殺され手残りが減ることも |
手取り重視のケース
とにかく今の現金を増やしたいなら、保険料と所得税・法人税のトータルが軽くなる報酬帯を探します。賞与への配分も選択肢に入ります。
ただし手取り最優先は、将来の年金を確実に削ります。若いうちはいいが、50代で焦る人を何人も見ました。
将来の年金を重視するケース
厚生年金は標準報酬月額が高いほど将来の受給額が増えます。年金を厚くしたいなら、保険料が重くても報酬を維持する判断もありです。
私はセーフティ共済や小規模企業共済と組み合わせて、保険料を払いつつ別ルートで老後資金を積む形にしました。年金一本に頼らないのが私の考えです。
よくある失敗例と落とし穴
一番多い失敗は、保険料を惜しんで報酬を下げすぎ、法人に利益が残って法人税で持っていかれるパターン。私の最初の失敗もこれでした。
次が賞与に寄せたのに支給日・金額が届出とズレて損金否認。そして40歳の介護保険上乗せを試算に入れ忘れる。この3つは事前に潰せます。
役員報酬の社会保険料に関するよくある質問(FAQ)
検索でよく一緒に調べられている質問に、根拠つきで答えます。

よくある質問
保険料率や制度は改定されます。最終判断の前に、必ず自社の支部・年金事務所の最新情報を確認してください。私はいつも額表を印刷して、税理士と一緒に並べて決めています。
