経費計上できるもの一覧|勘定科目と判断基準を徹底解説

この記事では、経費計上できるものの一覧と勘定科目、家事按分の出し方、業種別の具体例、領収書の保存ルールまで一気に整理します。
私自身、中小企業を経営しながら節税を自分で回してきました。税理士が積極的に教えてくれない部分も、実務の感覚で正直に書きます。安全なラインを確認してから判断したい人向けです。
経費計上できるものとは?基本の考え方

まず土台から。経費(必要経費)とは、事業を行うために直接・間接に必要かつ適切な支出のことです。売上原価、販売費、一般管理費などが含まれます。

国税庁は、総収入金額を得るために直接要した費用と、その年に生じた販売費・一般管理費などの業務上の費用を必要経費としています。飲食店の材料費、広告代、店舗家賃、水道光熱費、従業員給与などがその例です。
「経費で落とす」の意味
「経費で落とす」とは、その支出を必要経費として計上し、所得から差し引くこと。
利益(所得)は「売上-経費」で決まります。経費が増えれば課税される所得が減る。だから税金が下がる、という仕組みです。
なぜ経費を計上するのか(所得税・節税のしくみ)
所得税も法人税も、利益に対して課税されます。経費を正しく計上すれば課税対象の所得が圧縮され、納める税金が減る。これが節税の基本です。
ただし誤解してほしくないのは、経費を使えば使うほど得、ではないこと。100万円使って減る税金は税率分だけ。手元の現金は減ります。私も若い頃、無駄に物を買って「節税したつもり」で逆に資金繰りを苦しくしたことがあります。
経費にできるかどうかの判断基準
判断はシンプルに3要件で見ます。事業との関連性があるか、領収書など証憑が残っているか、実際に支払った(債務が確定した)費用か。
税務上はさらに、債務が確定していること、事業に必要なこと、家事支出との区分が明確なこと、が問われます。家のものか仕事のものか曖昧な支出は要注意です。
経費計上のメリットとデメリット
メリットははっきりしています。課税所得が下がり、税負担が軽くなる。
正直に言うと、デメリットの方が見落とされがちです。記帳と証憑保存の手間が増え、現金が出ていく。そして無理な計上は税務調査で否認され、追徴課税につながる。私は「現金が減ってでも本当に事業に必要か」を基準にしています。
経費計上できるものの一覧と勘定科目
ここからは具体的な勘定科目です。代表的なものに消耗品費、旅費交通費、通信費、広告宣伝費、地代家賃、減価償却費、支払手数料、租税公課、接待交際費などがあります。

| 勘定科目 | 経費にできるものの例 |
|---|---|
| 人件費(給与) | 従業員への給与・賃金 |
| 福利厚生費 | 健康診断費用、慶弔見舞金など |
| 消耗品費 | 事務用品、10万円未満の備品 |
| 旅費交通費 | 電車代、出張の宿泊費 |
| 通信費 | 電話代、インターネット利用料 |
| 地代家賃 | 事務所・店舗の家賃 |
| 広告宣伝費 | チラシ、Web広告費 |
| 研究開発費 | 新製品開発のための費用 |
| 新聞図書費 | 業務用の書籍・新聞 |
| 減価償却費 | 高額な設備・車両の按分計上 |
| 修繕費 | 設備・建物の修理代 |
| 支払手数料 | 振込手数料、専門家報酬 |
| 租税公課 | 印紙税、事業税など |
人件費・福利厚生費・消耗品費
従業員への給与は人件費として経費になります。ただし同一生計の家族への給与は原則経費にできない点に注意。
消耗品費は実務で一番使う科目です。取得価額10万円未満のパソコンは、少額減価償却資産として経費に即時計上できます(青色申告法人の場合)。
旅費交通費・通信費・地代家賃
出張の電車代や宿泊費は旅費交通費。携帯やネットの料金は通信費。事務所家賃は地代家賃です。
自宅兼事務所の場合、家賃や通信費は事業分だけを按分して計上します。按分の出し方は後半で詳しく書きます。
広告宣伝費・研究開発費・新聞図書費
チラシやWeb広告は広告宣伝費。新製品開発にかけた費用は研究開発費。業務に使う書籍や新聞は新聞図書費です。
私が地味に効くと感じるのは新聞図書費。業界の専門書や有料メディアは堂々と経費にできます。学びへの投資が経費になるのは経営者の特権だと思っています。
減価償却費・修繕費・支払手数料・租税公課
高額な設備や車両は一度に経費化せず、減価償却費として複数年に分けて計上します。設備の修理代は修繕費です。
振込手数料や税理士報酬は支払手数料。印紙税や事業税は租税公課。なお租税公課でも所得税・法人税・住民税は経費にできません(後述)。
経費計上できないもの・判断に迷いやすい費用
落とせるものより、落とせないものを覚える方が安全です。代表例は所得税・住民税・相続税、罰金や過料、家事費、同一生計家族への給与、プライベート用の洋服やゲーム専用PCなど。

事業と関係のない費用・法人税・個人の社会保険料
事業と無関係な支出は当然ながら経費外です。
| 分類 | 具体例 |
|---|---|
| 税金 | 所得税、住民税、相続税、法人税 |
| 罰則 | 罰金、科料、過料、交通違反の反則金 |
| 家事費 | プライベートの飲食・洋服・娯楽 |
| 家族への給与 | 同一生計の家族への給与(原則) |
個人事業主の国民健康保険や国民年金などの社会保険料は、経費ではなく所得控除で処理します。経費に混ぜないよう分けて記帳してください。
役員報酬・接待交際費の限度額
法人の役員報酬は、毎月同額(定期同額給与)などのルールを満たさないと損金(税務上の経費)に算入できません。期の途中で勝手に増やすと否認されます。
接待交際費にも損金算入の限度額があります。中小企業は年800万円までなどの枠があり、業種や資本金で扱いが変わるため、自社がどの区分かを必ず確認してください。
社用車・スーツなどプライベートと併用する支出
ここが一番グレーで、相談も多い領域です。社用車を私用でも使うなら、事業使用分だけを按分計上します。
スーツは正直、難しい。仕事専用と言い切れず、私服にも転用できるため否認されやすい支出です。私は基本的に個人のスーツは経費に入れません。制服や作業着など明確に業務専用なら別です。
勘定科目の選び方と迷いやすい科目の区別
科目選びで完璧を狙う必要はありません。大事なのは毎年同じ基準で一貫させること。
迷いやすいのは、消耗品費と工具器具備品(10万円が境目)、新聞図書費と研究開発費、支払手数料と外注費あたり。少額で消耗するものは消耗品費、長く使う高額品は資産計上、と覚えると整理しやすいです。
業種・働き方別に見る経費計上の具体例

同じ「経費」でも、業態で中身は大きく変わります。雑所得(副業など)でも、その所得を得るために必要な材料費や通信費は経費にできます。

フリーランス・個人事業主の経費
フリーランスは自宅兼事務所が多く、家賃・光熱費・通信費の按分が経費の中心になります。仕事用のPCソフト、取材交通費、外注費なども計上できます。
白色申告の個人事業主が家賃や光熱費などの家事費を経費にする場合、事業使用割合が50%以上であることが条件です。
IT・建設・飲食など業態ごとの違い
| 業種 | 経費になりやすい支出 |
|---|---|
| IT・Web | クラウド利用料、ソフトライセンス、開発外注費、通信費 |
| 建設 | 資材費、重機リース、現場までの交通費、作業着・安全用品 |
| 飲食 | 食材原価、厨房設備、店舗家賃、水道光熱費、宣伝費 |
| フリーランス全般 | 自宅家賃の按分、PC、取材費、書籍代 |
飲食店なら食材原価が売上原価として直接経費になります。建設業は作業着や安全靴が業務専用として認められやすい。IT系はクラウドやライセンスが大きな割合を占めます。
在宅・リモートワーク特有の経費(家賃・光熱費・通信費の按分)
在宅ワークで悩むのが、自宅の費用をどこまで経費にできるか。家賃・電気代・通信費は、事業に使った分だけを按分して計上します。
全額を経費にするのは危険です。生活と仕事が同じ空間にある以上、合理的な割合で分けるのが原則。前述のとおり、白色申告では事業使用割合50%以上が按分計上の条件になります。
家事按分の計算方法と按分率の根拠
按分率は「根拠を説明できる数字」であることが命です。
| 費用 | 按分の基準 | 計算例 |
|---|---|---|
| 家賃 | 仕事部屋の床面積÷自宅全体の床面積 | 60平米中12平米=20% |
| 電気代 | 仕事に使う時間や面積の割合 | 平日8時間使用などで算出 |
| 通信費 | 業務利用の時間・回線割合 | 業務7:私用3で70% |
私は面積按分を基本にしています。図面や間取り図で示せて、税務署に聞かれても一発で説明できるからです。割合をいじって毎年変えるのではなく、根拠を固定するのが安全です。
個人事業主と法人の違い・開業前費用の扱い
同じ経費でも、個人と法人では扱いが違います。10万円未満のパソコンは青色申告法人なら即時に経費計上できるなど、制度の使い方に差が出ます。

個人事業主と法人での経費計上の違い
| 項目 | 個人事業主 | 法人 |
|---|---|---|
| 自分への給与 | 経費にできない(事業所得) | 役員報酬として損金算入可(ルールあり) |
| 家事按分 | 必要(自宅兼事務所など) | 原則不要(明確に分ける) |
| 社会保険料 | 所得控除で処理 | 会社負担分は経費 |
個人事業主は事業主自身の給与を経費にできません。法人は役員報酬という形で経費化できる。ここが法人化の節税メリットの核です。
開業前にかかった費用(開業費)の取り扱い
開業前に使ったお金も諦めないでください。市場調査費、名刺・印鑑、開業前の打ち合わせ費用などは「開業費」として計上できます。
開業費は繰延資産になり、好きなタイミングで償却(経費化)できるのが特徴。利益が出た年にまとめて落とす、といった使い方が可能です。領収書は開業前から必ず取っておいてください。
少額減価償却資産の特例(30万円未満)と一括償却資産
高額な備品も、特例で早く経費化できます。
| 取得価額 | 処理方法 |
|---|---|
| 10万円未満 | 全額その年の経費に計上 |
| 10万〜20万円未満 | 一括償却資産として3年で均等償却が選べる |
| 30万円未満 | 青色申告者は少額減価償却資産の特例で全額経費化が可能(年間合計300万円まで) |
30万円未満の特例は青色申告の大きな武器です。20万円台のPCや備品を、その年に全額落とせる。私は設備投資のタイミングをこの基準に合わせて調整しています。
経費にできる金額の上限・限度額がある費用
すべての経費が青天井ではありません。接待交際費は中小企業で年800万円までなどの損金算入限度額があります。少額減価償却資産の特例も年間合計300万円が上限です。
限度額のある費用は、年間でいくら使ったかを月次で把握しておくと安心です。期末に慌てて確認すると、すでに枠を超えていた、という事故が起きます。
領収書の保管とデジタル化のルール
経費は「払った証拠」が残って初めて認められます。経費計上に有効な書類は、支払日・支払方法・支払額・受け手・支払内容が記載されたもの。領収証、クレジットカード利用伝票、銀行振込明細、納品書、注文確認メールなどが該当します。

領収書・レシートの保管義務と保存期間
領収書やレシートには保存義務があります。捨ててしまうと、たとえ実際に払っていても経費として認めてもらいにくくなります。
私はレシートを科目ごとの封筒に月単位で放り込む運用にしています。完璧な整理より、捨てない仕組みの方がはるかに大事です。
電子帳簿保存法に対応した保存要件
メールやネットで受け取った請求書・領収書などの電子取引データは、電子データのまま保存する必要があります。紙に印刷して保管するだけでは要件を満たしません。
対応のコツは、ファイル名に日付・取引先・金額を入れて検索できる形で保存すること。最初に運用を決めておけば、後から探す手間がなくなります。
インボイス制度と仕入税額控除への影響
インボイス制度の下では、原則として適格請求書(インボイス)がないと仕入税額控除が受けられません。経費として計上できても、消費税の控除では扱いが変わる点に注意が必要です。
取引先が課税事業者(登録番号あり)かどうかで、自社の消費税負担が変わります。発注前に登録番号の有無を確認しておくと、後で計算がぶれません。
クレジットカード・電子マネー・QR決済の証憑の扱い
カードや電子マネー、QR決済も経費にできます。証憑として有効なのはカード利用伝票や決済アプリの利用明細です。
私は事業用の支払いを法人カードに一本化しています。明細がそのまま記帳の元になり、プライベートと混ざらない。これだけで記帳の手間が劇的に減りました。
税務調査で否認されないための実例と注意点

経費で一番怖いのは、後から否認されて追徴課税を受けること。否認の多くは、事業との関連性が説明できない支出と、証憑の不備から起きます。

税務調査で経費が否認される具体的なケース
よく否認されるのは、家族との飲食を接待交際費にしている、私用の買い物を消耗品費に混ぜている、按分の根拠が説明できない、といったケースです。
私が聞いた失敗で多いのは「とりあえず全部経費」。週末の家族旅行を出張扱いにして、宿泊先や同行者から私用とバレる。グレーを攻めすぎると、本来正しい経費まで疑われます。
否認されないための証拠の残し方
証拠は「誰と・何のために・いくら」を残すのが鉄則です。接待なら相手の社名・人数・目的を領収書の裏やメモに残す。これだけで説明力が段違いになります。
按分は根拠資料(間取り図・利用時間の記録)をセットで保管。聞かれてすぐ出せる状態にしておけば、調査官との押し問答になりません。
経費計上のタイミング(発生主義・現金主義)と期ズレ処理
経費はいつ計上するか、も論点です。原則は発生主義で、債務が確定した時点で計上します。実際に支払った費用が当期の対象で、未払いや次年度発生分を当期に入れるのは原則できません。
期末をまたぐ支払い(期ズレ)は否認されやすいポイント。12月利用・翌1月払いの費用をどちらの年に入れるか、ルールを決めて一貫させてください。
経費精算を正確かつ効率的に行うポイント
効率化の打ち手は3つに絞れます。経費精算規定を作る、法人カードに支払いを集約する、経費精算システムを導入する。
小さい会社ほど、ルールが曖昧なまま属人化して不正やミスの温床になります。私の実感として、規定と法人カードの2つを先に整えるだけで、月末の処理が半分以下になりました。
経費計上に関するよくある質問(FAQ)
最後に、相談されることの多い質問にまとめて答えます。

よくある質問
迷ったら一つだけ。事業のためだと胸を張って説明できるかを基準にしてください。説明できない支出は、無理に入れない方が結局トクをします。
- 国税庁 No.2210 必要経費の知識
- Leapal 確定申告で認められる経費一覧
- 税理士法人 どこまでが経費として認められる?
- 三井住友カード 経費とは?
- 弥生 経費とは?
- JCB 法人カードで節税
- マネーフォワード 経費の基本
- ポスタス 確定申告で経費にできるもの一覧
- 弥生 少額減価償却資産の扱い
- JCB 経費計上に必要な書類
- Airレジ 法人カードと経費
- 大阪のCPA 確定申告と経費
- 国税庁 No.2210 必要経費の知識
- マネーフォワード 経費の基本
- 税理士法人 どこまでが経費として認められる?
- JCB 法人カードで節税
- ポスタス 確定申告で経費にできるもの一覧
- 弥生 経費とは?
- Leapal 確定申告で認められる経費一覧
- Airレジ 法人カードと経費
- 大阪のCPA 確定申告と経費
