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出張旅費規程で節税する方法|日当が非課税になる金額と作り方

中本 雄二 / 更新:2026-07-04
日当を経費にして節税できると聞いても、「本当に税務署に否認されないのか」「いくらまでなら非課税なのか」が分からず一歩踏み出せない。私も最初はそうでした。結論から言うと、出張旅費規程を整備すれば、日当を会社の経費にしつつ、受け取る側は非課税・社会保険料も不要という三重のメリットが取れます。
  • 出張旅費規程があれば、支給した日当は会社の経費に全額計上できる。
  • 規程に基づいて支給された日当は、受け取った個人の所得税が非課税になる。
  • 日当は給与ではないため、社会保険料の計算対象から外れる。
  • 非課税の上限は法律の金額表ではなく「社会通念上妥当な額」で判断される。
  • 規程が無いまま高額な日当を払うと、給与認定されて課税される。

出張旅費規程による節税とは?仕組みを結論から解説

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出張旅費規程による節税とは、社内ルールで日当や宿泊費を定めることで、会社の経費を増やしながら受け取る個人の税負担をゼロにする仕組みです。

ポイントは「規程があるかどうか」の一点に尽きます。同じ金額を渡しても、規程があれば非課税の日当、無ければ給与、と扱いが真逆になる。ここを押さえないと始まりません。

出張旅費規程とは何か(用語の意味)

出張旅費規程とは、出張の定義・対象者・日当や交通費・宿泊費の金額・精算方法をまとめた社内ルールのことです。

かみ砕くと「誰が、どこへ、いくらもらえるか」を先に文書で決めておく、というだけの話。難しく考えなくていい。ただし、この文書があるかどうかで税務上の扱いが決まるので、口約束では意味がありません。

出張日当による節税の基本的な考え方

出張日当の節税とは、実費とは別に支給する定額の手当を、会社では経費に、個人では非課税にすることで両者の税負担を下げる方法です。

日当は「食事代や雑費など、いちいち領収書を出すのが面倒な出費をまとめて渡すお金」という位置づけ。だから領収書がなくても経費になり、受け取る側も給与ではないので税金がかからない。正直、これほど効率のいい節税策は他にそう多くありません。

規程がある場合とない場合の税務上の違い

規程が無いと、日当は給与とみなされ所得税・住民税・社会保険料の対象になります。ここが最大の分かれ道です。

出張旅費規程がある場合とない場合の違い
項目規程がある規程がない
会社の経費計上可能(全額)立替実費のみ
個人の所得税非課税給与として課税
社会保険料対象外対象になる
領収書のない日当認められる認められにくい
同じ3万円を渡しても、規程があれば非課税の日当、無ければ課税される給与。この差が節税の本質です。

出張旅費規程で節税できる3つの理由

出張旅費規程で節税できる理由は、経費計上・所得税非課税・社会保険料の軽減という3つが同時に効くからです。

ひとつずつ見ていきます。私が自分の会社で実際に使っている順に、効果の大きいものから並べました。

経費として全額計上できる

規程に基づいて支給した日当・宿泊費・交通費は、会社の損金(経費)として全額計上できます。

利益が減れば法人税も減る。しかも日当は領収書が要らないので、細かい精算の手間もない。経理の負担が軽くなるのは、地味だけど効いてきます。

日当を非課税で支給できる

国税庁は、出張旅費や日当のうち通常必要と認められる範囲のものを非課税と定めています。

つまり受け取った側は、その分だけ税金のかからない手取りが増える。給与を上げると所得税も社会保険料も増えますが、日当ならそれが起きない。役員である自分に払う場合、これは大きい。

社会保険料の負担を軽減できる

日当は給与ではないため、社会保険料の算定基礎(標準報酬月額)に含まれません。

社会保険料は会社と本人で折半、合わせて給与の約30%かかります。給与を増やす代わりに一部を日当でまかなえば、この負担が発生しない。正直、法人税より社保のほうが効いてくる場面も多いです。

日当は非課税でいくらまで?金額の目安と相場

日当の非課税上限は法律で金額が決まっているわけではなく、「役職や旅行の実態に照らして社会通念上妥当な額」であれば非課税になります。

ここが一番よく聞かれるところ。「じゃあ結局いくらならいいの?」という話を、目安つきで書きます。

非課税になる「社会通念上妥当な金額」の考え方

国税庁は、支給額が役職に応じてバランスが取れていること、同業他社と比べて高すぎないことを判断基準としています。

要は「常識的な範囲か」の一言。社長だけ日当10万円、平社員は2千円、みたいな極端な差をつけると否認リスクが跳ね上がります。金額そのものより、バランスと根拠が大事。

役職別・国内出張の日当と宿泊費の目安

公的に定められた金額表は民間企業にはありませんが、参考になる公式データとして国家公務員の旅費の額があります。

国家公務員の日当・宿泊料(参考/国内出張)
国家公務員等の旅費に関する法律に基づく額。民間の相場設定の参考として。
区分日当(1日)宿泊料(1泊)
指定職(次官級)3,000円19,100円
7〜8級(本省課長級)2,600円13,100円
6級以下(一般)2,200円10,900円

正直に言うと、この公務員の額は民間から見ると控えめです。中小企業では役員で日当5千円前後、一般社員で2〜3千円あたりに設定する例をよく見ます。ただし、この数字は相場感であって法的根拠のある上限ではありません。自社の実態に合わせて決めるのが筋です。

海外出張の日当・宿泊費の相場

海外出張は国内より高く設定でき、渡航先の物価によって地域別に金額を変えるのが実務の基本です。

国家公務員の旅費法でも海外は地域を甲・乙・丙などに分け、宿泊料や日当を段階的に定めています。民間でもこの考え方をまねて「北米・欧州は高め、アジア近隣はやや低め」と地域別に組むと、否認されにくい合理的な規程になります。

海外は金額が大きくなる分、税務署の目も厳しくなります。渡航先ごとの金額根拠と、業務目的の記録を必ず残してください。

出張旅費規程の作り方と定めるべき項目

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出張旅費規程の作り方は、目的・適用範囲・出張の定義・支給額・精算方法・決議手続きの6ステップで組み立てます。

難しくありません。私が自分の会社で作ったときも、A4で3〜4ページに収まりました。順番に見ていきます。

目的・適用範囲と出張の定義を決める

最初に、規程の目的(旅費の支給基準を明確にする)、対象者(役員・全従業員など)、そして「何を出張とみなすか」を決めます。

出張の定義がぼんやりしていると、後で必ずもめます。「片道◯km以上、または移動時間◯時間以上」のように、距離か時間で線を引くのが明快です。

旅費の項目と支給額・精算方法を定める

交通費・宿泊費・日当の3項目に分け、それぞれ役職ごとの金額と、実費精算か定額支給かを明記します。

規程に定める旅費項目の設計例
項目支給方法備考
交通費実費精算領収書・経路の記録を残す
宿泊費定額 or 実費定額なら差額は返還不要
日当定額支給領収書不要・役職別に設定

宿泊費を定額にすると、安く泊まれば差額が本人の手元に残ります。これも合法的な手取り増。ただし相場からかけ離れた定額はダメです。

近隣出張・日帰り・在宅勤務者など境界ケースの基準

日帰り出張や近隣出張は、宿泊がないぶん日当を減額するなど、通常の出張と区別して定めておきます。

ここを曖昧にすると、通勤の延長みたいな移動にまで日当を払ってしまい、給与認定の火種になる。在宅勤務者が客先へ行く場合の起点をどこにするかも、先に決めておくと揉めません。

作成後の決議と社内周知の手続き

規程を作ったら取締役会または株主総会で決議し、従業員がいる場合は就業規則の一部として周知します。

一人社長でも、議事録を残して「いつから施行したか」を明確にしておくこと。日付の入った証拠がないと、後付けで作ったと疑われます。

節税効果の試算と一人社長・個人事業主の運用例

日当を月合計10万円分支給できれば、年間120万円が非課税で会社から個人へ移り、法人税・所得税・社会保険料の三重で負担が軽くなります。

具体的な数字で見たほうが早い。私自身の運用イメージを混ぜて書きます。

日当を導入した場合の節税額シミュレーション

仮に役員が月8回出張し、1回5,000円の日当を受け取ると月4万円、年間48万円。この48万円は会社の経費になり、個人では非課税です。

同じ48万円を役員報酬で増やすと、所得税・住民税・社会保険料で2割前後は消える。日当ならそれが丸ごと手元に残る計算です。あくまで前提を置いた試算なので、実際の税率は各社で異なります。

一人社長・中小企業の運用実例

一人社長でも、自分に対する日当を規程で定めて支給すれば、この仕組みは問題なく使えます。

私の場合、月に数回の県外移動があるので、そこに日当を紐づけています。大事なのは「実際に出張している実態」があること。動いていないのに日当だけ出す、これは一発でアウトです。

役員だけ手当を厚くする場合の按分と注意点

役員の日当を従業員より高く設定すること自体は認められますが、役職の序列に沿った合理的な差でなければ否認されます。

社長5,000円・部長4,000円・一般3,000円のように、段階を踏むこと。社長だけ突出させると「実質は役員賞与では」と見られます。役員報酬との違いは、日当が業務の対価ではなく出張の実費補填である点。ここを崩さないように。

税務調査で否認されないための注意点と証憑管理

税務調査で否認されないための鍵は、規程の存在・金額の妥当性・出張実態の証拠、この3点をそろえることです。

逆に言えば、この3つが揃っていれば怖くありません。どこでつまずくかを具体的に書きます。

否認された具体事例と対応の実務

否認される典型は、規程が無い・実態が無い・金額が高すぎる、のいずれかです。

よくあるのが、規程はあるのに出張報告書が一切なく「本当に行ったのか証明できない」パターン。この場合、交通機関の利用記録や訪問先とのメールを後から集めて反論することになります。最初から記録があれば、こんな苦労は要りません。

出張報告書の書き方と証憑の残し方

出張報告書には、日付・行き先・目的・訪問先・成果を1件ずつ記録し、交通費の領収書やICカード履歴を添えます。

出張報告書に残すべき項目
項目記載内容
日付出発日と帰着日
行き先地名・訪問先の会社名
目的商談・視察など具体的に
成果誰と会い何が決まったか
証憑交通費領収書・宿泊領収書
日当そのものに領収書は不要ですが、「出張した事実」を示す記録は必須です。ここを省くと非課税が崩れます。

定額支給と実費精算のハイブリッド設計

交通費と宿泊費は実費精算、日当だけ定額支給、という組み合わせが最もバランスが良い設計です。

全部を定額にすると渡しすぎのリスク、全部実費にすると節税メリットが薄い。私は交通・宿泊を実費、日当を定額に分けています。これが一番ラクで、税務上も説明しやすい。

受け取った側の確定申告・所得税上の扱い

【やらなきゃ損!】会社も従業員も手取が増える出張手当の節税スキーム
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規程に基づいて支給された日当は非課税所得なので、受け取った本人が確定申告で申告する必要はありません。

ここを勘違いして「日当も収入だから申告するのか」と悩む人がいますが、その必要はありません。

従業員・役員が受け取った日当の税務上の扱い

通常必要と認められる範囲の日当は、給与所得にも一時所得にも含まれず、源泉徴収の対象にもなりません。

ただし妥当な範囲を超えた分は給与として課税されます。つまり「非課税かどうか」は金額の妥当性次第。ここでも社会通念上妥当な額、という基準に戻ってきます。

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中本 雄二

会社経営者 ・ 節税・補助金を実務で運用 ・ セーフティ共済・小規模企業共済を活用

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